汗や汗のにおいを抑える制汗剤にはさまざまなタイプがあるが、シービックが展開するスティック状で直塗りできる商品、「薬用デオナチュレ ソフトストーンW」はなかでも人気が高い。
制汗剤市場は、ずっと女性を中心に売れている。
同社の調査によると、汗や汗のにおいに悩んでいる女性は全体の7 割を占め、そのほとんどが制汗剤を使用している。
対して男性はそもそも汗や汗のにおいに対しての意識が低く、5割にも満たない。そのうち制汗剤を使用しているのは3割程度だという。
男性のほうが汗をかきやすく、汗のにおいが気になっているのでは?というイメージだったが、実際はそうではないらしい。
同社では、男性にもっと制汗剤を使用してもらうため、この3~6月に男性用「男デオナチュレ」と女性用「デオナチュレ」のミニサイズを同梱し、セットでプレゼントするキャンペーンを行った。
今までにも、何度か男性を対象にプレゼントキャンペーンがやってきたが、応募数が少なく訴求が難しかった。
それに対して、女性対象に行ったこのプレゼントキャンペーンは、男性対象のときの応募数の4倍以上で、毎回好評を博している。
また、「男デオナチュレ」は、家族やパートナーからすすめられて使い始めたという男性ユーザーが多かったことから、男女セット商品のキャンペーンを実施することにしたのだそうだ。
令和の制汗剤市場に変化? 男性向けの制汗剤をあえて女性用の売り場で展開したり、秋冬シーズンも売れ続ける理由とは?
汗をかく季節には欠かせない制汗剤。気になる汗や汗のにおいを抑えてくれる便利なグッズだが、女性に比べると男性の購入率はまだ低いようだ。男性への制汗剤の訴求、最近の制汗剤のマーケットの傾向について、制汗剤ブランド「デオナチュレ」を展開する株式会社シービック U&Iマーケティング本部 マネージャーの山口絵里さんとメッツィング フランチスカさんに訊いた。
男性の制汗剤の購入を促すのは女性

男性用と女性用を同梱したキャンペーン

女性用で人気の「薬用デオナチュレ ソフトストーンW」
「そもそもキャンペーンとしては、男性に汗やにおいのケアとして制汗剤という解決策があることを知っていただき、『男デオナチュレ』を使っていただくのが狙いです。
制汗剤全体では男性用制汗剤市場は35%程度なので、もっと男性にも意識してケアしていただきたい…という思いがあります。
また、『男デオナチュレ ソフトストーンW』はスティック状で直塗りするのが特徴の商品なので、男性にはあまりなじみのない商品形態ということにも課題感を感じていました。
その中で、注目したのが女性側のデータです。
9割の女性はパートナーの足やボディのにおいに悩んでいますが、6割以上の人はにおいのことをパートナーに伝えることができない…とデータがあります。
においの話はとてもセンシティブなことですよね。『相手を傷つけたくない』『言ったら怒って否定されそう…』という声が多かったのです。
それなら、女性にキャンペーンに応募してもらって、『たまたま当たったから使ってみない?』と『男デオナチュレ』をパートナーに渡してもらって、制汗剤を使うきっかけになったらという思いで実施しました」(メッツィングさん)
このキャンペーンの狙いは当たり、応募数はいつもの男性向けキャンペーンのときの数千人から5万人規模まで拡大し、使ってみた男性ユーザーからも好評を得ることができた。
「女性ユーザーが男性にすすめる割合が競合商品よりも高いということもあったと思います」(山口さん)
そして、このキャンペーンだけでなく、店頭での展開にも工夫をしたという。
女性の売り場に男性用商品を置く
「ドラッグストアでは夏になると制汗剤の売り場面積が大きくなります。売り場は男女に分かれていることが多いのですが、今回は女性の売り場に『男デオナチュレ』を一緒に置いていただくことにしました」(山口さん)
これもキャンペーン同様に、女性ユーザーにパートナーや家族の分も一緒に購入してもらおうという施策のひとつだった。
「小売店さんから、若い世代だと男性のスキンケアやコスメを購入するときに男性用売り場ではなく、女性用の売り場を回遊するようになっているとお聞きして、制汗剤も男女差がなくなってきているのではないか考えました」(山口さん)
また、女性が男性用の制汗剤のほうを好む傾向もあるという。
「男デオナチュレ」の特徴は、男性に好まれるメントールが配合されている。清涼感を求めて、女性が自分用に使う男性用商品を買いやすくするという側面もあるようだ。
「男性商品のほうが、より汗や汗のベタつきをしっかり押さえてくれそうとイメージがあるからかもしれません」(山口さん)

男デオナチュレにはメントールが配合されて清涼感がある
冬でも継続して売れ続ける制汗剤
制汗剤といえば、ひと昔前まではスプレー缶タイプが優勢だったが、最近ではシート、ロールオン、スティック状などのさまざまなタイプが台頭している。
特に同社が販売しているスティック状の直塗りタイプは人気が高いようだ。
「スプレータイプは吹きかけるのでどうしても有効成分が飛散してしまいますが、直ヌリだと、直接有効成分が密着するため、持続しやすいと言えます」(山口さん)
また、かつてスプレー缶は香料入りのものも多かったため、自分のにおいと混じるのを嫌うユーザー層が多く、無香料やスティック状のものを選ぶようになってきたという背景もある。
さらにここにきて、環境問題もあり、スプレー缶は廃棄しにくいというのも、他のタイプに人気が移行してきた理由になっているようだ。

手軽にサッと塗れるスティックタイプ
制汗剤の市場は5月くらいから夏にかけて、盛り上がりを見せ、秋冬になると落ち込むものだが、「デオナチュレ」は秋以降も売れ続ける傾向にあるという。
「女性の制汗剤市場全体で見ると8月と比べると、12月は3割くらいまで落ち込みますが、『デオナチュレ』は6割を維持しています。減ってしまうのは秋以降に小売店での売り場スペースが小さくなったり、販売店が少なくなったりすることが原因ですが、1店舗あたりの売れ行きの個数は8月も12月もさほど変わっていないのです。つまり、売れる数量に波がないので、それだけ1年を通して、汗やにおいをケアしている人がいると考えられます」(山口さん)
「夏の汗は多量にかきやすく、どちらかというとサラサラしていますが、秋冬は汗をかかない分、におい成分が濃くなる傾向があるので、においをケアしていた人は通年使用されているのだと思います」(メッツィングさん)

足のムレやにおいをカバー。足指さらさらクリームシリーズ
今年も残暑が厳しそうで、汗をケアしたい期間はまだまだ続きそうだ。
同社では今後も汗や汗のにおい対策として、足のムレやにおいに特化した足専用商品をはじめ、商品の訴求に力を入れていく。
「男性へのさらなる訴求とシーンにあった制汗剤で汗やにおいをケアしていただければと思います」(山口さん)
取材・文/百田なつき
デオナチュレ
https://deonatulle.com/
男デオナチュレ
https://deonatulle.com/otoko/
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