――新聞を見ていると「早期アルツハイマー病の新薬承認を申請」などの記事を目にしますが、薬で症状は改善するのですか?
最近申請された薬は、アミロイドβそのものを除去する薬です。アミロイドβの蓄積量は減りますが、すでに脳の神経細胞に与えられたダメージは元通りにすることはできません。それに、アミロイドβが作られ過ぎる原因はそのままなので 根本的な解決にはなりません。
あくまでも脳を攻撃している犯人は、病原体などの毒素やそれによる炎症です。だから アミロイドβを過剰に作らせないために、そもそもの脳への脅威を私たちの生活から取り除く必要があります。
――では、そのためにはどうすればよいのでしょうか?
シンプルなことですが、まずは毒素を溜めないようにすることです。とはいえ、現代社会で生活している私たちはどれだけ気を使っても完全に毒物から逃げることはできません。
例えば、食事や呼吸あるいや皮膚などを通じて有毒な金属や化学物質、生物毒素などを体に取り込んでしまいます。
アルツハイマー病を引き起こす毒として代表的なものが、水銀や銅などの重金属や黒カビが作るマイコトキシンなどの毒素です。水銀はマグロなどの大型魚を食べることによって少しずつ体内に蓄積することで知られます。またエアコンや浴室など黒カビだらけというような環境で生活している場合毎日少しずつカビを吸引していることになり、これはよくありません。
通常こうした毒素は便や尿、汗などを通じて排出されます。そのため、毒素を体内に長くため込んでしまわないよう腸内フローラを最適化し、便通を改善したり、適度に運動して水分をしっかりとり汗を流したりする必要があります。
また、毒素の排出をサポートしてくれる食材もあります。こうした解毒作用のある食材を積極的に食べるようしましょう。
また、呼吸あるいは皮膚などを通じて毒素を体に取り込んでしまう話をしましたが、それだけでなく、歯周病菌もアミロイドβを増やします。日本の成人の約80%が歯周病だと言われており、定期検診を受け、歯周病を悪化させないことも大事です。