17歳で少年院へ…今村容疑者の悪の遍歴
そして2012年8月2日、渡邉容疑者は札幌市内のマンションの一室に侵入して現金約1000万円入りの金庫を盗んだなどの容疑で共犯者とともに北海道警に逮捕された。
道警の発表によれば、渡邉容疑者らは同年4月22日未明、同市中央区の元ホストクラブ従業員方に侵入、現金約1000万円入りの耐火金庫と高級ブランド時計(300万円相当)を盗んだ疑い。
渡邉容疑者は知人からこの従業員宅に多額の現金があるとの情報を聞き出し、見張り役など役割分担をして住民を装い、業者を呼んで解錠させて侵入。盗んだ現金を高級外車の購入や飲食店の開業資金に充当したと供述していた。
当時の渡邉容疑者を知る飲食店関係者はこう語る。
「渡邉は筋金入りのワルで同様の手口の余罪も5〜6件手がけていて、この頃すでに今村ともつるんで悪さをしていたと聞きます」
極悪ツートップのもう一人、今村磨人容疑者は幼少期から荒んだ環境に身を置き、小学校時代には早くもワルの片鱗を覗かせていた。
「高学年のときの担任教諭は今村にいじめられて卒業式にも参加できなかったそうです。中学時代も不良でしたが、サッカー部に入っていて今よりかなり痩せてて爽やかだったので、モテるタイプのワルでした。
飲酒喫煙をしていることは学校中の人が知っていて、不良の仲間から一目置かれていました。弱くて目立たない子には暴力やカツアゲを繰り返していて、彼の顔色をうかがう人は多かったと思います。施設に入った17歳の頃に両親が離婚して苗字も変わりました」(中学時代の同級生)
今村容疑者も飲食店を経営していた2008年、無許可営業で女性に接待をさせた風俗営業法違反容疑で札幌中央署に逮捕された過去がある。2016年には札幌市内でひき逃げを起こし、ここでも逮捕されている。
今回、警視庁は2人の配下で同じくフィリピンの入管施設にいる藤田聖也容疑者(38)、小島智信容疑者(45)についても特殊詐欺に関わった容疑で逮捕状を取り、移送手続きを進めている。
この事件は2019年、警察官や金融庁の職員などを装って日本に電話をかけ「キャッシュカードが不正使用されている」「銀行口座が不正に残高照会されている」などと言って日本にいる「受け子」たちにキャッシュカードを盗ませ、口座から現金を引き出す手口で、一連の被害は約2300件、被害総額は約35億円にのぼる。
実行犯たちを手足に引き込む際、身上関係や家族構成などを把握して足抜けさせないように恐怖支配を敷く手口は、今回の一連の強盗事件でも共通している。