試行錯誤を繰り返したYouTubeチャンネルの運営は、勝が想定していなかった結果をもたらした。「エンタメでもゲーム実況でもない、ビジネスジャンルの私のチャンネルは登録者10万人にも届かない」と考えていた勝の想像を遥かに超える勢いで登録者は伸び、2021年8月の1ヶ月間だけで新規登録者が10万人を超えたのだ。
そして、2022年4月には登録者が36万人を突破。総再生回数は4億回を超え、全国から勝の動画に感銘を受けた視聴者からの予約が入るようになった。売り上げもコロナ禍前を超えるまでに伸び、見事V字回復を果たした。
さらにRe.museへの入社に関する問い合わせも殺到。それを受けて選考を行い、新たな社員を迎え入れた。
勝は「デジタルの可能性を肌で感じることができた」とYouTubeを開設してからの1年半を振り返る一方で、「復活できたのは結果論」とクールに語る。
「今、何をすべきなのか。それを常に全力でやってきただけです。実際、YouTubeがここまで伸びるとは思っていなかったですし、どれだけ予約につながるかもわからなかった。しかも、こんなに生き生きとした社員が入社してくれるとは想像していませんでしたから」
昨今は、世界中の誰もが出口の見えない暗闇のトンネルを、手探りで進んでいる。混迷の時代の真っ只中で「だからこそ」と勝は力を込めた。
「誰でも『そんなこともあったね』と言える未来をきっと作れるはず。私も当時があったおかげで成長できて今があるので、人生には試練も必要なのかもしれません。そして、よりよい未来を創造できるかは自分次第だと思うんです」
勝はそう言うと「でも、よく業績が回復したと私でも思います」と、微笑んだ。
撮影:遠藤素子