やりたいことをやったらええ
――いよいよ最終決戦ですね(笑)。
ライバル校に関してはあっさりクリアできたんやけど、あと2人とんでもない化け物がおって。ひとりは高校に行っとらん完全な一匹狼。もう一人は同じ高校の空手日本一。どっちとやってもお互い無傷では済まんやろうなと思ってたんやけど、なんとなくやめておこうという暗黙の了解みたいなもんが出来上がって。
――暗黙の了解ですか…そういうところは政治の世界や国対国の関係と近いところがあるんですね。
そうかもしれんね。戦争と同じでやり始めたらあとは泥沼やけん。やらんで済むもんならやらんほうがええよ。殴るのも殴られるのも、痛いけん。
――今あらためて、ご自身の成人式のときの写真を見てどうですか?
恥ずかしいよ(笑)。でも面白かったし、楽しかったね。
――新成人に送る言葉があるとしたら、どういう言葉をかけますか。
みんな好きなことをすりゃーいいと。先輩風を吹かすわけやないけど、目立ったり、騒ぎたい気持ちは風邪みたいなもんで、必ず直るから。お金のことも含めて自分の裁量で出来るんやったら、好きなことをやったらいいよって言いたいですね。
なんたって、最後のお祭りなんやから。
――最後の祭りですか?
北九州の人間は、というか気合い入っとる奴らはみんなそうなんやろうけど、卒業式とかそういうイベントごとが大好きで。
オレも中学の卒業式んときは、チームで揃いの刺繍入りの学ランを着たしね。高校の卒業式も祭りみたいなもんやったし、北九州の人間にとって成人式は、その最後を飾る祭りやけんね。
――とことん、やれと。
そう。ただしハメを外しすぎて捕まるようなことがあったら、楽しかったはずの思い出が一瞬で全部パーやけ、そこだけは気をつけろと。ギリギリのところで踏みとどまって何十年かして思い出したときに、「楽しかったよなぁ」って思えるものにしてほしい、とは思うかな。
――先輩のひとりとして、それを見守っているぞと?
見守る? そんなんしないですよ。自分の番が終わったらそれで終り。バトンを受け取って、それを後輩に引き継ぐなんて、オレらだれひとり思ってないですから。ウザい先輩の説教とか無しで新しい文化として継承されていくんなら、それが最高でしょう!? それでこそ、ホンマもんってことでしょう。それでいいと思いますよ。
取材・文/工藤晋