「北九州の人間にとって成人式は、遊びの最後を飾る祭りやけん」元ヤン社長が語る、2008年の成人式と、前田大尊に憧れた喧嘩の日々_1
大型バスを貸し切って会場へ。 ※手前の望月さんと奥の寺原さんは当時すでに20歳
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2003年、通称「金さん」「銀さん」から始まった北九州のド派手成人式から5年。一度きりで終わると思われた…終わってほしいと思ったに違いない大人たちの思いを大きく裏切り、受け継がれた成人式魂は年毎にその派手さを増していった。

2008年に新成人となり、マッキンキンの羽織袴に身を包んで式に参加、今年は年男で現在は北九州で建設業を営む当時の番長、望月健司さんに成人式の思い出を語ってもらった。

それもひとつの存在証明

――今や北九州の文化と言われるまでに昇華したド派手な成人式が生まれたのは2003年。望月さんが新成人になったのは5年後の2008年ですが、成人式を意識したのはいつ頃ですか?

一個上の先輩達のを見たときやから2007年の成人式やね。「金さん」「銀さん」は知らんけど、北九州でヤンチャだった先輩たちが、気合の入った揃いの羽織袴で式に出ているのを見て、よっしゃ! 来年はオレらの番や!と(笑)。

――オレが一番目立ってやると?

いやオレが、やなくて、オレたちが、やね。北九州は○○中学出身という意識がものすごく強くて。高校やといろんな地域から集まってくるけ、地元に密着している中学の方がまとまりやすいちゅうか、仲もいいんよ。
成人式も中学のチームごとに揃いの羽織袴でビシッと決めて。やけ気持ち的には、オレやなくてオレたちなんよ。

――チームとして一番を目指した?

それもちょっと違うかな。一番になりたいわけやなくて、他のチームには負けたくない。ナメられたくないちゅう感じやったと思いますね。オレたちはここにいるぞみたいな。存在証明みたいなもんやったと思います。

――衣装は…レンタル貸衣装店の『みやび』ですか?

そうそう。先輩たちの成人式が終わってすぐにみやびに行って。オレは『バカ殿様』みたいで嫌やったんやけど、幹事を務めたやつがどーしてもマッキンキンがいいって言い張ってさ(笑)。
レンタル料金? チーム全員分の金の羽織袴はないっちゅーことで、ない分は一から作ってもらったから……一人アタマ20万円くらいやったんやないかな。

――当時は、揃いの羽織袴が普通だった?

ヤンチャな人間の間で流行り始めていたのは間違いないけど…それでも5、6校くらいかな。式当日は揃いの衣装で大型バスを貸し切って。今思い出しても楽しかった記憶しかないですね。

――大型バス…ですか?

ホントはね、リムジンを借りたかったんですよ。でも全部出払っていて。リムジンも早いもん勝ちやから。しゃーないバスでいいかと。当日は『望月健司様御一行』と書かれた大型バスに乗って、会場まで乗りつけましたね。ただ……。

――ただ…なんでしょう?

一個上の先輩たちまでは、当時会場になっていた『スペースワールド』の玄関まで車を乗りつけられたんやけど、オレたちの代からそれは禁止になって。駐車場に誘導されて、そこから歩いて会場まで行くというようにルールに変わったのが、ちょっと残念やったね(笑)。