「本気で優勝するつもりなら、2本目が弱い」

――事務所の先輩であり、現在、キングオブコントの審査員も務めるバイきんぐの小峠(英二)さんにネタを何度か見てもらったことがあると話していましたが、今回のネタも見てもらったのですか。

中嶋 当時は小峠さんがまだ審査員をやっていなかったんです。さすがに審査員になっちゃうと、見てもらえないですよね。

本間 でも、他の先輩には、めちゃめちゃ見てもらいました。キャプテン渡辺さんとか。うちの事務所は、先輩方がとにかく優しいんですよ。踏みつけられてきた人たちが多いんで。そこはソニー・ミュージック・アーティスツのいい伝統でもある。みんなでネタを見せ合って、ああした方がいいとか、こうした方がいいとか言い合う。
事務所以外でも、三福エンターテイメントさんとか、パッファロー吾郎A先生とかにも何度もダメ出しをしてもらいました。

――決勝進出が決まってから本番までの約一ヶ月間でも、ネタのブラッシュアップはかなりしたのですか。

本間 だいぶ変わったと思います。決勝が決まったときは、チーフマネージャーが「本気で優勝するつもりなら、2本目(『雨』)が弱いから」って、事務所の仲間を集めてくれて。それで、どんどん案を出してもらいました。
決勝で『雨』をやったとき、僕はカツラを被っていたじゃないですか。あれも補強した点です。気象予報士の役だったので、年配の人の方がそれっぽく見えていいだろう、と。
あと、本番の一週間前ぐらいのライブで、たまたまかもめんたるさんと一緒になったんです。せっかくなんで、(ボケ役の岩崎)う大さんにネタを見てもらいたいなと思って。

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ネタ作り担当&ツッコミの本間キッド

――う大さんは「note」で毎年、キングオブコントやM-1の総括を書いていて、それが芸人間でもすごい評判になっているんですよね。

本間 すごい具体的だし、的確じゃないですか。それで伊藤が「う大さん、ネタ見てくださいよ」みたいに軽い感じで突撃したら、「いいよ。じゃあ、データで動画を送っといてくれない?」ってなって。
何日か後にLINEで「今、電話できる?」ってきたので、歯医者さんの帰り道だったんですけど、生涯、何本かの指に入るほどの命がけダッシュで家に帰りました。すぐ電話をかけたら「メモ取れる?」って言うから、メチャメチャちゃんとダメ出ししてくれるんだ! と思って。