いまはアラサーだけど、アラフォー、アラフィフの苦悩も書きたい
――『来世ちゃん』のこの先の展望として密かに狙っていることはありますか?
いつまちゃん 海外でインターネットミームになりたいんですよね。違法アップロードだから複雑なんですけど、『来世ちゃん』が中国で大ブームになったことがあるんです。
Paraviで配信された数時間後には中国語の字幕がついて拡散されて、何万人もの人々が『来世ちゃん』について話してるような状況があって、すごい面白かったです。ヤリチンヤリマンのことを「銃王」と呼ぶらしく、桃ちゃんと松田くんの絡みはダブルトップガンと表現されて応援されてたり(笑)。
中国という国自体は性表現やLGBTQ描写にも厳しいけど、なんだかんだセフレがいる人はいるし、「こういう感情ってあるよね」という部分では案外共通してるんだなと感じられて、嬉しかったんです。
だから、中国では難しいかもしれないけど、アジア圏でも公式展開できそうなタイや台湾、韓国などでブームになりたいなというのが、私の野望ですね。
祖父江 ね。嬉しいけど、悔しいよね。
私は、テレビ東京で『孤独のグルメ』のドラマがSeason10まで行っているので、それに次ぐシリーズ作品になればいいなと思っていて。それが、難しかったとしても、特番とかで細々と続けていって、10年後の『来世ちゃん』をやるのが夢です。
いつまちゃん 確かに、いまはアラサーの苦悩を描いてるけど、そのうちアラフォー、アラフィフになって、それぞれの苦悩も書いていきたいですね。
祖父江 ちゃんと年を取る話にしてもいいよね。
いつまちゃん そうなんですよ。“あるある”の繰り返しと思われがちなんですけど、実はみんな成長していってるんですよね。
祖父江 そこはジレンマでもあって、『サザエさん』や『ちびまる子ちゃん』は、成長しないからずっと続けられるんです。でも、『来世ちゃん』のキャラクターはどんどん成長していくので、ドラマとして続けていく難しさもあったりして。『来世ちゃん』のドラマって、ちびまる子ちゃんのパッケージをオマージュして作っているところもあるので。
いつまちゃん ドラマの高評価レビューにも、「これは大人のちびまる子ちゃんだ」って書かれていました(笑)。
祖父江 そうそう。だから、『孤独のグルメ』は無理かもしれないけど、忘れた頃にたま〜に特番で帰ってくるみたいな、常にうっすらいるような存在であり続けたいなと思ってます。
いつまちゃん そのジレンマは漫画でもあって、初期の雰囲気を求めている人もいれば、いまが一番面白いと言ってくれる人もいるんですよね。いまはキャラクターが過渡期を迎えて、それぞれの人生の局面を丁寧に描いてるんですけど、落ち着いたら一息ついてまたセフレだの、本命だのって話にするかもしれません。
まあ、私は基本的に人の言うことを聞かないので、どうなるかはわかりませんけどね(笑)。