人生うまくいかない…そこが『来世ちゃん』の魅力
――やはり、エロ表現についてはコンプライアンスを意識しなければいけない場面も多いのでしょうか?
祖父江 もちろんです。テレビの限界は割とすぐにきますから。だから、実はだーりおは脱いでもいないし、喘いでもいないんですよ。
いつまちゃん 「Aく〜ん」って、名前を呼んでるだけですからね。
祖父江 「(お代官様)あーれー」みたいなもんです。あとは、やっぱり女の子に嫌われないようにしたいので、女性が引いてしまうようなエロ描写も避けています。
いつまちゃん コンプラの限界でいうと、Aくんが「これで遊びたい」って、ピストンマシンを持ってくるシーンは、さすがにダメだったみたいですね。
祖父江 生々しく見えるものは避けてくれと言われているんですよね。林くんの部屋に大量のアダルトグッズがあるシーンでも、テレビ的にアリかナシか、より分ける作業がありました。
いつまちゃん 確かに、一本バイブが画面に映るだけで途端にとんでもいやらしくなりますからね。
映画『黒い家』で、大竹しのぶさん演じる殺人鬼の部屋で、ベージュ色のバイブがウィンウィン蠢いてるのが一瞬映るんですけど、演出としてめちゃくちゃ効いてて怖いんですよ。デザインって本当に大事です。
――多彩なキャラクターも本作の魅力だと思います。おふたりの現在の推しキャラクターを教えていただけますか?
いつまちゃん かなり感情移入して描くタイプなので、そのとき桃ちゃんがだれの相手をしているかで変わってきますね。女の子はみんな好きだけど、梢と心ちゃんは気持ちがのってスパッと描けるので気に入ってます。
祖父江 梢ちゃんがこんなに深いエピソードになると思わなかった。
いつまちゃん 梢は勝手にパニくって話を広げてくれるから、本当に苦労しないんです。同じように亜子ちゃんもどんどん話をややこしくしていくので、すごい描きやすい(笑)。
祖父江 私は最近、Eくん推しになりました。ずっと「絶対Aくん」だったのに、私も3年で変わりましたね(笑)。Eくん、私と同じ岐阜出身なんですよ。
まあ、それは置いても、冴えない学生時代を送って、働き出してからちょっと成功して、異性を知って歪んでいくEくんを「私だな」と思ったときに、Eくんのことが愛おしくてしょうがなくなった。恋愛以外でいうと、共感するのは梅ちゃんかな。
いつまちゃん 梅ちゃん!
祖父江 YouTubeしか見れなくなって「もう長編アニメが楽しめない」みたいな小さいエピソードにすごく共感できる。
いつまちゃん だけど、そんな梅ちゃんが欲しいものをすべて持ってる檜山は、梅ちゃんのことを羨ましがっていて。
祖父江 梅ちゃんは桃ちゃんみたいに誰かに夢中になってみたいのに、桃ちゃんは梅ちゃんのビジュアルを羨ましがっていたりして……本当に面白いですよね。
いつまちゃん 人生うまくいかないなって(笑)。
祖父江 うん、そこが『来世ちゃん』いいなあって思う。