煮えた鍋は大丈夫か?
「鍋が煮えているからウイルスが死滅するかどうか以前に、そもそも鍋を囲めばそれなりに密になり、飛沫感染やエアロゾル感染のリスクが高くなります。忘年会・新年会の席ならばアルコールも飲んでいて、さすがに黙食なんてできないはず。まずはそちらを注意するべきでしょう。
また、鍋から料理を取り上げる際、自分の使っていた箸を鍋に入れれば、程度にもよりますが、唾液が鍋の汁や食材に混じっていくでしょうし、それを他の人が摂取してしまう可能性もあります。
それから鍋の熱で新型コロナウイルスが必ず死滅するかどうかはわかりません。ですので、直箸を使って取り上げるのではなく、菜箸とお玉を使って取り分けた方がリスクはずっと低くなります。もし、これから料理を決めるのであれば、鍋料理や大皿料理のない、取り分けられたコース料理を選んだ方がいいでしょう」(森澤医師)
都内・新橋にある居酒屋で聞いてみた。
「お鍋の注文が敬遠されるということは特にないですね。お玉とか菜箸がありますし、以前より多めに菜箸をお渡しているので、皆さんそれを使ってくれています。
昨年までは一人用鍋の要望もあったけど今年はない。マスク会食なんて実際には難しいですし、店として特に求めることはありません」(居酒屋・店主)
ではお店を選ぶ際は、個室がいいのか、それとも換気を考えて密ではない広い空間のお店がいいのか。
「大きなお店でたくさん人がいる店内だと、どんな健康状態の人がいるかわかりません。それなら、先ほどお話ししたような、信頼関係のある仲間たちと個室にするというのがやはり安心です。
また、アクリル板を設置しているお店も多いのですが、これはあくまで飛沫感染を防ぐもので、ある程度、距離的に余裕がある環境でなければ効果はありません。
人が密集している店内であればアクリル板があることで、かえって換気ができなくなっている可能性もあります。アクリル板があるだけで安心ということではないので、そのあたりの見極めも大切です」(森澤医師)