変動金利が上がっても困らないために、今できること

——もし変動金利が2%まで上がったら、どれくらい返済額が増えるのでしょうか。

風呂内 例えば、あなたが5,000万円の35年ローンを組み、変動金利が0.3%だったとします。現状の返済額は12.5万円です。

そのあと3年経過後に変動金利が2%まで上がった場合、本来の返済額は約16.1万円になります。しかし125%ルールがあるので、実際は15.6万円に抑えられます。以前よりも3.1万円アップです。

こういった返済額のシミュレーションは、家電量販店などで販売されている「金融電卓」や、インターネット上の試算サイトで計算できます。金融電卓は積み立てなどの複利計算もできるので何かと便利ですよ。まずは試算して、金利が上がったときに耐えられそうか確認してみてください。

——金利上昇に備えて、他にできることを教えてください。

風呂内 今できることは、主に2つあります。

1つ目は、資金の余裕を作っておくことです。住宅ローンを借りる際、変動金利にするか固定金利にするかで迷いませんでしたか? もし上記の条件で1.0%の固定金利で組んでいたとしたら、毎月の返済額は14.1万円でした。

「本来は14万円ほど支払っていたのだから、毎月1.5万円は貯金しておこう」などと考え、多めに貯蓄しておくのがおすすめです。そして金利が上昇したタイミングで繰り上げ返済を行えば、返済額を下げたり未払利息の発生を防いだりできますよ。

2つ目は、固定金利の推移をチェックしておくことです。変動金利が上がってきた場合、固定金利への変更を考えると思いますが、実は、変動金利よりも固定金利の方がまめに調整されています。そのため「いざ固定金利にしようと思ったら、固定金利も相当上がっていた…」ということが起こり得るのです。

よって変動金利だけでなく固定金利の推移も定期的に確認しておき、金利上昇の気配を感じたら、固定金利への変更を本格的に検討するとよいでしょう。

——これから住宅購入を検討している人もいますが、今は購入してよいタイミングなのでしょうか?

風呂内 購入するタイミングは、住宅価格や住宅ローン金利の動向、住宅ローン控除の変更などの「外的要因」よりも、その人のキャリアや家庭環境、住宅に求める要素などの「内的要因」によって決めたほうがよいと思います。

例えば、都内の住宅価格は高騰しているため、買うには難しいタイミングかもしれませんが、住宅ローン金利は低い状況です。こうした状況を「買い時」だと捉えるかは、その人次第ですし、そもそもコントロールができません。また極端な話、どんなに外部要因がよい状況だったとしても、申込人が転職直後だったり病気をしていたりしたら、希望する金額は借りられないかもしれません。

住宅には「資産性」と「居住性」の二面があります。住宅を資産として捉えるなら、住宅価格が高いときに買うべきではないですし、住宅ローン金利は低いほうがよいでしょう。

しかしその家に住むことを重視するなら、自分のライフスタイルを叶えるエリアにあり、自分が満足できる物件なのか、自分の家計バランスを考えたときその住宅ローン返済額で妥当なのか、といったことを満たせば、自分にとってはよい選択になるでしょう。

「今、自分は家を買うタイミングなのか」「家に何を求めるのか」といった視点で検討してみてはどうでしょうか。

取材・構成/金指歩