「新しい景色」は見えるか

日本代表はこの4年間、森保一監督が常々「新しい景色を見よう」と口にしてきたように、初のベスト8進出を目標に掲げて強化を続けてきた。

そんなチームにとって、勝てば目標達成となる次の試合はまさに大一番。ドイツやスペインに勝ったことさえ通過点に過ぎず、この試合に勝つためだけに4年間すべての準備がなされてきたと言っても過言ではない。

だが、勝負の一戦を目の前にしてもなお、これまでの3試合でジェットコースターなみの激しい浮き沈みを経験してきた選手たちには、もはや何事にも動じる様子がない。
冨安が堂々と語る。

「勝って負けて勝ってときて、僕たちだけじゃなく、日本人サポーターのみなさんも一喜一憂というか、ドイツ戦で勝って賞賛されて、コスタリカ戦ではあまりよくなくて批判もあったが、僕は大会前から(日本はワールドカップでも)できるクオリティを持っていると言っていたし、思っていたし、それは実際にドイツ、スペインを相手にピッチ上で見せることができた。僕たちの力をしっかり100%出すことができれば、僕たちの目標は達成できると思っている」

日本は過去3度決勝トーナメント1回戦で敗れ、ベスト8進出を逃してきたが、4度目の挑戦となる今回は、チーム内に漂う空気がこれまでとは明らかに異なっている。その空気は、自信と言い換えてもいいものだろう。

初のベスト8進出まであと一歩。
遥か彼方にあったはずの「新しい景色」も、霞の先におぼろげながら見えてきた。

取材・文/浅田真樹 写真/AFLO