強豪クロアチアを象徴するスーパースター

日本がワールドカップに出場するのは今回が7回目だが、ワールドカップ優勝経験国(ドイツ、スペイン)に勝利したのは初めてのこと。さらには、2大会連続でのグループリーグ突破も初であり、グループ1位通過もまた、自国開催のアドバンテージがあった2002年大会を除けば、初のことだ。

次々に歴史を塗り替えていく日本代表が、今度は初のベスト8進出を目指し、次の決勝トーナメント1回戦で対戦するのはクロアチア。4年前の前回大会では準優勝している強豪国である。

「前回大会を見ていて一番印象に残っている国のひとつ。全選手がハードワークしていたし、見ている人たちが応援したくなる国のひとつだなと思った」

日本の守備の要、冨安健洋がそう話しているように、クロアチアはヨーロッパを代表する強豪でありながら、悪い意味での強国意識がなく、ひたむきに戦えるのが魅力のチームだ。

クロアチアの顔とも言うべき中心選手は、ルカ・モドリッチ。彼もまた、世界的ビッグクラブであるレアル・マドリードで背番号10をつけるスーパースターでありながら、ハードワークをいとわない。クロアチアのキャプテンでもあるモドリッチの姿勢は、まさにチームの戦いぶりを象徴している。

ドイツやスペイン以上にやりにくい相手? “見ている人たちが応援したくなる”クロアチアサッカーの正体_2
ルカ・モドリッチ。ユーゴスラビア出身で、18歳まで難民ホテルで生活をしていた

単純な実力比較で言えば、ドイツやスペインには劣るとしても、「柔軟性や対応力にすごく長けている。少し日本に似ている感じもある」とは田中の弁。日本にとってはスキを見つけるのが難しく、むしろドイツやスペイン以上にやりにくい相手と言えるのかもしれない。

ワールドカップ出場国の中に、日本が簡単に勝てる相手などないことは言うまでもないが、負ければ終わりの一発勝負であることも含め、グループリーグの3試合とはまたひとつ違った難しさをはらむ試合になりそうだ。