人のために何かして幸福度を得ることで老人脳になりにくくなる

この「幸せに対する欲」と密接に関係しているのがオキシトシンです。最近はよくメディアで取り上げられているので、知っている人も多いかと思います。

オキシトシンは別名「愛情ホルモン」とも言われていて、人や動物などと「つながった瞬間」に出るホルモンです。犬や猫を飼っている人や子どもと触れ合う機会が多い人は、オキシトシンが出て、幸福感を感じやすいと言われています。
2022年の最新研究では、18歳から99歳の人を調べたところ、加齢とともにオキシトシンの量は減るどころかむしろ増えることがわかっています。

ドーパミンは減っていくけれど、オキシトシンは増えていく。そこからわかるのは、人はいくつになっても幸せを求めているということと、その幸せはつながりを通して得られるということです。

若いときは生理的な欲求が強いのですが、歳とともにバランスが変わり「つながり」など社会的欲求の占める割合が高くなっていきます。この社会的欲求は、社会貢献などにもつながっていきます。ボランティアなど「人のために何かをする」ことで自分の幸福度が上がるのは、脳の変化なのです。

「こじんまりとしたパブに行く回数が多い人は幸福度が高い」は本当か?_2
『80歳でも脳が老化しない人がやっていること』(アスコム)より転載

生理的な欲が減り、人とつながること、人に貢献することを求めるようになる。これがいわゆる「人の成熟」と言えるのではないでしょうか。お金よりも人の役に立ちたい、感謝されたいという気持ちが年齢とともに高まるのは、人として成熟している証です。有名なマズローの五段階欲求説がありますが、一番下に生理的欲求があり、それが満たされていくと社会的欲求が満たされ、最終的に自己実現の欲求が出てくる。このことが最新の脳科学で証明されたわけです。これに反して生きる人は、幸福度が上がらず、老人脳も進行しやすくなると思われます。