#1 『スマホ脳』のハンセン氏が語る「不安もうつも生き延びるために必要なこと」
「幸せ」になりたいなら幸せを無視すること
ハンセン氏の新刊『ストレス脳』の最終章にあるのが「幸せの罠」。それは幸福幻想論とでもいうべき、幸せの概念を覆す内容になっている。
「幸せ(happiness)については、もっと真剣に受け止め、しっかり研究されていくべきものと思います。いままでそうした研究があまりされてきませんでした」
研究の世界では「幸せ」の定義は、すでになされてはいる。
「幸せとは、人生の方向に対する長期的な満足度と定義されています。この幸せには、他人との関係性を保てているか、また、家族、友人、人びとのために貢献できているかといった要素が必須です」
つまり、幸せとは、この瞬間において最高の気分であることではなく、長期的に自分の人生に意義を感じられること、となる。たしかに瞬間的なよい気分よりも、人生の意義を見いだすぐらい長期的な意義を得ようとするほうが、より幸せになれるような気がする。
ところが、『ストレス脳』で、ハンセン氏はこう述べるのだ。
<その定義に賛同できて、幸せになるために最大限の努力をしたいなら、一番重要なのは幸せを無視することだと私は思う>
瞬間的か長期的か云々でなく、まずそもそも幸せなんて考えないほうがいいというのである。根底を覆されたような気分だが、もちろんそうすべきとするハンセン氏の理論がある。