大会開催前から噴出する多くの問題
4. 初の中東開催
中東国家でW杯が開催されるのは今回が初めてとなる。通常、W杯は欧州各国のリーグが終了したタイミングの6月に開催されるのだが、今回は開催国カタールの暑さが考慮され、シーズン途中の11月という異例の開催時期となった。その結果、欧州リーグは例年に比べかなりの過密日程になり、大会前に怪我をしてしまうといった故障者が続出している。
空調が配備された最新スタジアムが今大会のために7つも建設されるなど、暑さ対策の取り組みが施されてはいる。しかし、そのスタジアム建設に携わる外国人労働者に対する人権侵害行為が、アムネスティ・インターナショナルなどの国際人権団体から多数報告されており、主に欧州各国からの非難の声が相次いでいる。
デンマーク代表のサプライヤーであるスポーツブランドのHummelは、これらの問題を受け、ブランドロゴとチームエンブレムを隠すようなデザインでユニフォームを作成。その際、「私たちは、何千人もの人々の命を奪った大会で目立ちたくはありません」という声明を発した。
その他、開催国がカタールに決まる過程で複数の賄賂問題があったと、FIFA(国際サッカー連盟)が米司法省から告発されるなど、開催を前にして波乱の様相を呈している。
5. “W杯未出場国”が開催国になるのは初
開催国カタールは、「出場経験がないまま“開催国枠”でW杯初出場」という不名誉な記録も樹立してしまった(開催国は、各大陸のW杯予選が免除される)。
第1回大会を除く過去の大会では、予選突破を経験することなく、開催国枠でW杯本大会に初出場したチームは存在しない。そうした不名誉を避けるためにも、日本代表は死に物狂いで1998年フランス大会の切符を勝ち取ったのである。