高校生の時に真似をしたのはイニエスタ

「僕自身、薄毛の治療を受けているので、勝手にシンパシーを感じている」 空気階段 水川かたまりの深すぎるサッカーとイニエスタへの愛_02

――特別に好きなチームはありますか?

元々欧州サッカーを観るようになったのは、中学生の時にスカパーで観た、「無敗優勝の時のアーセナル」(※5)がきっかけです。そのチームがめちゃくちゃ好きで、特にアンリ(※6)がお気に入りでした。「どこか好きなチームを一つ」って聞かれたら、今でもアーセナルと答えますね。

その後はペップバルサ(※7)にも夢中になりました。「どう考えても最高じゃん」っていうチームで、ずっと追っかけていました。その少し後のネイマールがいた時代のバルサも好きでした。

最近は、どこか特定のチームを応援する感じではなくて、「試合として面白いな」っていう感覚でサッカーを観ています。でも今年のアーセナルは応援したくなりますね。やっぱり、パスを回して試合の主導権を握る攻撃的なチームが好きです。


※5 2003-04シーズンのプレミアリーグで、アーセナルFCはリーグ戦全38試合において26勝12分け0敗という、リーグ史上唯一の“無敗優勝”を成し遂げた。

※6 元フランス代表FWティエリ・アンリ。プレミアリーグ歴代最多となる4度の得点王を受賞している他、フランス代表の最多得点記録保持者でもある。

※7 現マンチェスター・シティの監督であるペップ・グアルディオラが率いた2008-12のFCバルセロナを指す。超攻撃的なパスサッカーは当時世界中のチームに絶大な影響を与え、サッカー史における最強チームの一つとして記憶されている。

――今の現役選手で一番好きな選手は?

アンドレス・イニエスタですね。やっぱり天才だと思うんですよ。感覚的なセンスもずば抜けているけど、ピッチを俯瞰できる“サッカーIQ”もすごいし、もちろん足元の技術もリオネル・メッシと並ぶくらい世界トップレベルで。そして、なんかハゲている。

――そこですか(笑)?

僕自身、薄毛の治療を受けているので、勝手にシンパシーを感じているのですが、イニエスタがバロンドール(※8)を獲れなかったのは、彼がハゲていたからだと思うんです(笑)。
もちろん冗談ですけど、間違いなくサッカー史に残る天才で、でも容姿からはあまりそういう印象を受けなくて…そんな親しみやすいキャラクター性も含めて、愛らしくて大好きなんですよね。

高校生の時にペップバルサ時代のイニエスタを知って、色々真似てみましたけど、やっぱり「あの身のこなし」はできないというか、「なんであんなにボールを取られないんだろう?」って、理解できなかったし、自分には難しかったですね。


※8 1956年にフランスのサッカー専門誌「フランス・フットボール」が創設した、世界年間最優秀選手に贈られる賞で、サッカー界で最も権威のある個人賞として認知されている。最多受賞者はリオネル・メッシ(7回)。