エリートではないからこその魅力

――ミムラさんの個人的な見解として、ブンデスリーガの強豪バイエルンや国外のチームも含め、鎌田におすすめの移籍先はありますか?

うーん、難しいですね(苦笑)。組織としての戦い方がより緻密にオーガナイズされているチームの方が、彼のプレースタイルには合っているでしょう。彼自身「自分は個人の能力だけで局面をなんとか解決してしまうようなタイプではない」と言っていますし。

バイエルンはチームスタイル的にも合いますし、ドイツ国内で鎌田の評価が高いことも考えれば、いい移籍先だとは思います。プレミアリーグであれば、チェルシーやマンチェスターユナイテッドよりも、アーセナルやマンチェスターシティの方が彼に合っているのではないでしょうか。ラ・リーガのチームだとレアル・マドリードよりもバルセロナの方が狙い目ではありますね。

――カタールW杯で鎌田にどういう活躍を期待しますか?

やはりゴールでしょう。ドイツとスペインという、かなり格上のチームがグループリーグの相手なので、相当頑張らなければ日本は突破できない。鎌田がゴールを決めて、勝ち上がって欲しいですね。

鎌田のプレースタイルを考えると意外かもしれませんが、そのサッカー経歴はエリートではなく、落ちこぼれというか、「雑草魂」的なものです。本田圭佑と同じように、ガンバのジュニアユース(中学生)からユース(高校)のチームに上がれなかったという挫折を中学3年生で味わっていて、その結果進学した東山高校サッカー部も、高校からそのままプロになった初めての選手が鎌田、というレベルで、名門ではありませんでした。

そういう場所から這い上がってきた彼の経歴や、今回お話ししたようなパーソナリティがもっと世間に伝わると、日本での評価も更に上がるのではないか、と思います。


取材・文/佐藤麻水