活躍を支える家族の存在

――フランクフルトのクラブとしての特徴を教えていただけますか?

フランクフルトを一言で表すと「古豪」になると思います。ブンデスリーガの前身であるドイツ・サッカー選手権では優勝経験がありますが、1963年にスタートした現行のリーグになってからは一度も優勝できていません。ただ、古豪だからこそファン・サポーターは多いですね。

そういう歴史ある伝統的なクラブなのですが、近年は積極的に資金を投入しており、ビッククラブを目指す過渡期にあります。つい先日、とても立派な新しいクラブハウスが完成したばかりで、2024年にドイツで開催されるUEFA欧州選手権(EURO)に向けたスタジアム改築も予定されています。

このタイミングでヨーロッパでの初タイトルを取れたので、クラブとしての勢いを感じますし、ドイツサッカー界でも注目されています。

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ミムラユウスケ氏
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――過去には稲本潤一や高原直泰、乾貴士などが在籍し、現在は長谷部誠もフランクフルトに所属していますが、日本人選手との特別な結びつきがあるのでしょうか?

日本人を特別視しているというよりは、これまで在籍した日本人選手のおかげで、「日本人選手への悪いイメージはない」、というレベルだと思います。高原直泰もクラブ得点王を取ったことがありますし、長年所属している長谷部誠はすでにクラブのレジェンド的な存在ですし。

しかしそれよりも、フランクフルトという都市が日本人が住む上で非常に暮らしやすい街、という側面の方が強いと思いますね。フランクフルト国際空港からの直行便ですぐ日本に帰れますし、日本食材店も日本料理屋もあり、街の中に川が流れていて景色も綺麗です。

サッカー界では海外移籍をした場合、「選手と一緒に移り住んだ家族が心地よく暮らしていると、選手自身も気持ちよくプレーできて、いい結果を残しやすい」とよく言われます。

逆に、情報として表にはほとんど出てこないのですが、「選手よりも家族が現地の暮らしに適応できず、仕方なく退団」という、家族の事情で海外移籍が失敗に終わるケースも、実は多々あるのです。

鎌田には非常に“家族想い”な一面があるので、フランクフルトの街で家族がリラックスして暮らせているのが、サッカー面でもよい循環を生み出しているのかな、と思いますね。