書店チェーンと他チェーンの違い

重永 書店チェーンならではの分布の特徴ってあるんですかね。大都市集中とか競合を避けるみたいなのは割と他のチェーンでも共通するところだと思うんですけど。

谷頭 でもやっぱり飲食チェーンと比べるとかなり大都市集中の感が強いですよね。特に丸善ジュンク堂とか紀伊國屋みたいな新刊書店は。
それは本というものの性質によるんじゃないかとは思うんですけど。在庫をいっぱい抱えるとか。
そうやって考えていくと、今日この話何回もしちゃってますけど、TSUTAYAとかBOOKOFFっていうのがある意味ではそういうニーズとか商圏っていうものを超えて全国に出店していったんだっていうのが、地図にしたことで明確になったなと思います。 

道路中心の文化論を

重永 書店の分布は交通機関や行動様式との関係もあるんじゃないかと思っていて、車と電車だと本との親和性だいぶ変わりますよね。電車の中で本を読む、っていうスタイルが確立されているというのも都市圏に書店が集まる一つの要因としてあるのかなと思います。

谷頭 ありそうですね。それでいうと、本だけでなくCDやDVDのような別メディアも扱っているっていうのがBOOKOFF・TSUTAYAと丸善ジュンク堂・紀伊國屋の違いだと思います。車を運転しながら本は読めないですけど音楽は聞けますよね。車との親和性が高いからこそ、 BOOKOFFとTSUTAYAは都市に限らず全国に出店できたのかなと思います。

重永 たしかに。行動様式と音楽の聴取環境の関係なんかも調べたら面白そうですね。

谷頭 こうして色んなデータを見ながら話していると、普段の自分が都市中心、鉄道中心の見方に偏ってるなと改めて思いますね。東京に住んでいるとどうしても鉄道文化に引きずられちゃうけど、実際には日本人の普通、多数派は車とか道路中心の文化ですよね。メディアも都市に集中しているからどうしても偏った見方のものが多くなってしまう。
書店文化についても、丸善、ジュンク堂、紀伊國屋がつくってきた文化はたくさん語られていると思うんだけど、自家用車が主な交通手段になっている地域でBOOKOFFやTSUTAYAが文化にどういった影響を与えてきたのかもしっかり考えていかなきゃいけないなと思います。

前編 BOOKOFFとヤマダデンキはほぼ同じ店舗数。店舗の分布に潜む各チェーンの本質とは はこちら