日本サッカー協会の回答全文

回答がないまましばらく時間が経過し、2週間ほどした頃に日本サッカー協会広報部からじつに素っ気ない書面回答がメールで届いた。

以下にその回答全文を紹介する。

日本サッカー協会(JFA)は国際サッカー連盟(FIFA)の加盟団体として、FIFAが定める規則や規約、ポリシーに従って活動しています。競技そのものだけでなく、紛争や自然災害なども含めてあらゆる社会課題の解決について、FIFAやFIFAに加盟する各国のサッカー協会と連携を取りながら行なっている活動も含まれています。

サッカーは、国籍や人種、言語、宗教、国際情勢などの枠を超えて世界の人々との相互理解や友情を深めることができる力を持ったものでもあり、今回ご連絡いただいた内容についても、FIFAおよび世界中のサッカーファミリーとともに、人権を尊重することにコミットし、人権保護の促進に取り組んでいくものと考えています。こうしたことは継続して活動に取り組んでいくことが重要であり、あらゆる人権上の問題を撲滅すべく、FIFAおよび世界中のサッカーファミリーとともに、更なる人権保護の促進に向けて取り組んでいく必要があると考えています。

JFAの人権保護に関する考え方として、JFAが行っている日本国内での取り組みをご参考までにお伝えいたします。昨今のように暴力や差別、ハラスメントなどが社会の中で大きな注目を集めるようになった遥か以前の1989年から、JFAは指導者や選手、関係者に広くフェアプレーやリスペクトの大切さを広める活動をしてきました。1998年には「JFAサッカー行動規範」を策定し、2009年には「リスペクトプロジェクトを発足させて啓蒙活動に力を注いでいます。同じく2009年7月には、国際連合が提唱する「国連グローバル・コンパクト」に日本国内で93番目の企業・団体として、スポーツ団体としては世界で初めて登録されています。更に、JFAは、日本の中央競技団体としてはじめて、ユニセフ(国連児童基金)と日本ユニセフ協会が2018年11月20日に発表した「子どもの権利とスポーツの原則(Children’s Rights in Sport Principles)」に賛同し、それを参考に2019年5月には「JFAサッカーファミリー安全保護宣言」を発表するとともに、上記国連グローバル・コンパクトとUN Womenが共同で作成した「女性のエンパワーメント原則」にも署名し、スポーツ界の女性活躍を推し進めるべく、「JFA女性リーダーシップ・プログラム」を実施するなど、諸問題の解決に継続して取り組んでいます。

一読、なんとも無味乾燥で当たり障りのない文言が連なった文章、という印象は拭いがたい。カタールで建設作業等に従事した移民労働者の死亡補償と救済の要求、同国での人権抑圧状況への抗議など、W杯参加国競技団体や選手たちが積極的な行動を起こしている一方で、日本や日本人選手は何らかの意志表示を行うつもりはあるのか、あるとすればどのような行動を取るのか、という質問に対する具体的な回答はなにも記されていない。