学生時代から苦手だった“課題をこなす”ことに
もう一度向き合えるようになった

「まわりからの評価に素直に向き合えるようになれた」―初の個展から9年目の光宗薫が振り返る、変化した“私”_6

――毎日放送系のバラエティ番組『プレバト!!』に定期的に出演され、そこで毎回異なる画材を駆使して作品を発表されています。
今、絵を描いている人のなかには、「なんでそんなにすんなりと違う画材で描けるの?」「自分はできない」と感じる人もいると思います。そういう人に何かアドバイスはありますか。

私は以前までカラー作品はしたくないと避けていたのですが、番組内でカラーの水彩画を描かなければいけなくなって、試行錯誤して作品を制作するようになりました。その際に想像以上に褒めていただくこともあり、描ける・描けないは究極的には自分の問題と実感しました。

できない気がするものも一度試して、人に意見をもらう体験が『自分はこれができない』という悩みに対する一種の回答になるのかな。その際評価が悪かったとしても、それが気にならなければ続けられる訳ですし、続けていればできるようになるものが大半かなと思うので。

――出された課題に応えるというのは、光宗さんが学生時代に苦手としていたことそのものですよね。それに大人になってから再び向き合っているというのは、興味深いです。

確かに学生時代をはじめとした過去のリベンジマッチになっているかもしれません。でも、今の自分は課題に向き合える心の余裕があります。

昔のように「うまくできない自分に価値はない」と思い込むこともなく、何かができない自分もまぁいいやって少しは許せるようになりましたし、まわりからの評価に素直に向き合えるようになれたのは、すごく嬉しいですね。成長できたんだなぁって(笑)。

――今はタレント活動と並行して画家として生計を立てていらっしゃいますよね。

継続的に絵を描きながら生き続けるためには、制作したものでお金を稼ぐのが正道だと思っていますし、絵を通して社会と繋がりたいという気持ちが強いです。

――画家としてもうすぐ10年目に迫ろうとしていますが、昔と今で変わってきたことはありますか。

昔は引き篭って絵を描いていました。パーソナルなものがテーマだったので一人で完結できるということもありましたが、精神的な負担も大きかった。でも、近年は気分転換に外に出て友達と会ったり、好きなところへ行ったりして、孤独になり過ぎず描こうと意識しています。
一人にならなくても絵が描けるようになったので。

――最後に、今後画家としてチャレンジしたいことについてお聞かせください

約 2年後を完成目標にボールペンで描いた絵本を製作中なのですが、その間に展示や描くお仕事も引き続き行うつもりなので、絵本に活かしていければと思っています。

あとは、ライブドローイングにもチャレンジしたい。絵を描いている最中やそれが完成したときの盛り上がりって今は大体一人で感じるのみなので、その時間を見てくださる方と共有できたら嬉しいです。


――自分の感情を真正面から向き合い続けた末に、それを生かせる“絵”に出会った光宗薫さん。自由を手にした彼女が次にどんな世界を見せてくれるのか、楽しみだ。

取材・文/TND幽介(A4studio) 写真/井上たろう

前編:光宗薫が絵画アーティストになった理由はこちら 〉〉〉