「もうひとりのお父さん」こと相方・井口
――河本さんの小説には、「今日は仕事だ」って言って、奥さんが見てない隙に外で酒飲みながら草野球とか見て、みたいな描写がありましたけど。
河本 いやまあ……。いまだにありますよ、そういう日は。やっぱりずっと家にいると、奥さんも「仕事しなくて大丈夫?」って不安になるんですよね。
僕も、「大丈夫。井口が働いてるから」なんて返事して。
――それは不安になって当然です(笑)。
河本 でもこの状況にも進展があって。
この前スマホをなくしたことをきっかけに、スケジュール管理をしているGoogleカレンダーに、嫁も入るようになったんです。
――奥様がスケジュールを把握できるようになった?
河本 はい。だからいま嫁に予定をすべて把握されているんですよ。
――ヤバいじゃないですか。仕事のフリして抜け出すことができなくなった。
河本 そうなんですよ。でも、いいこともあって。どれだけ家にいても、カレンダーを見れば「あ、お父さん働いてる」ってなるんです。
――……え? 「お父さん働いてる」?
河本 ああ、井口ね。「もう1人のお父さんが働いてる」って、わかるから。
注:ウエストランドは、井口がピンで働いた場合もギャラを折半にしている
――ダハハハハ! もう1人のお父さん(笑)。
河本 いままでは僕が家にいて「井口が働いているから大丈夫」って言っても、「ほんとう?」って疑われるわけですよ。けど、もうGoogleカレンダーという確たる証拠がありますからね。
「ダウンタウンDX 井口のみ」って画面を表示しながら、「見ろこれを!」って。「俺が酒飲んでる間も井口が働いてんだぞ! ダウンタウンDXの収録してんだぞ!」って、言いながら飲んでます。
――最悪すぎますよ!
河本 水戸黄門じゃないですけど、「井口のみだぞ」って。
――全然それ印籠になってないです!
河本 印籠だ(笑)。Googleカレンダーという印籠を手に入れたんで、いまは最強です。もちろん、基本的には分が悪いんですけどね。
――でも、井口さんの働きは伝わるようになった。
河本 毎日なにかしら「井口のみ」って書かれた予定が入ってますからね。でも最近、井口のみ、っていうのも書かれなくなってきました。
――もう井口さんピンの仕事が当たり前になっちゃってますからね。
河本 そうそう。僕も「まあどうせ井口でしょ」って家でゆっくりしてたら、「いや今日はコンビだよ!」みたいな日もあって(笑)。それでまた遅刻しちゃうんですよね。