「子育て支援」を国民は本音で支持するのか?

現在、日本という国は低負担中福祉の国家となっています。CECD加盟36カ国の比較で見ても、日本は下から数えた方が早いほど国民負担率が低い国となっています。また内訳を見たときに税負担より社会保険料負担率が他国と比較すると多いことがわかります。

「子供は贅沢品」なのか? 圧倒的少数派である子育て世帯に突きつけられる危うい未来_4
出典:財務省 国民負担率(対国民所得比)の国際比較(OECD加盟36カ国)

この社会保障費の使い道を見ても、高齢者向けの支出が多く、反対に家族向けの支出が低くなっています。

そのため、高齢者への支出を減らして、子育て世帯に向けろという意見もありますが、今の子育て世帯も近い将来、高齢者になります。社会保障費の移し替えをしても現役世代の将来不安に繋がるのであれば、少子化対策と言う意味では根本解決にはなりません。

また現在は国債発行に頼りすぎているため、将来的には低負担低福祉をめざすか、中負担中福祉をめざすのかを迫られる時が来るでしょう。この時に国民はどちらを選ぶのでしょうか?

仮に増税をするとしても、自分たちの人生を豊かにするためにあえて子供を持たない選択をした人たちや経済的に困窮している単身世帯は、子育て支援のために増税を受け入れるでしょうか?

政治とは匿名であり、「本音と建て前」の本音で投票するものです。そして政治家は数が取れない政策は選ばないものです。少数派となる子育て世帯にとっては悲しいですが、これが現実です。

筆者には子供はいませんが、それでも子育て支援のための増税なら支持します。それは年金制度でわかるように、子供のいない世帯にとっても大切な存在だからです。

何も決めない政治が行き着く先が低負担低福祉国家であれば、それは次の世代にとっては今より生きづらい国であり、それは避けるべき未来ではないでしょうか。

文/井上ヨウスケ