生理的嫌悪感と、それ以上の衝撃
第5位:『私が、生きる肌』(2011年)
まずはペドロ・アルモドバル監督作にしてアントニオ・バンデラス主演、『私が、生きる肌』(2011年)のロベルからご紹介しよう。
天才的な形成外科医ロベルの大豪邸には、ある一人の女性が密かに監禁されていた。
〝ベラ〟と呼ばれるその美女の容姿は、ロベルの亡くなった妻〝ガル〟に瓜二つ。実はロベル、かつてガルをある出来事で失った悲しみから、完全なる人工皮膚の製作に執着するようになっていた。そしてその被験者ベラを、ガルそのものの外見に作り替えていたのだ……というサスペンス・ドラマ。
このあらすじだけでもなかなか衝撃的な内容であり、相手の人格や尊厳などまるで気にも留めていないロベルの異常性が感じ取れることだろう。しかし、本作の問題は序盤よりも、むしろ中盤以降。
「かつてロベルやその妻ガルの身に一体何が起こったのか」、「そもそも実験体〝ベラ〟とは一体何者なのか」──すべての真実が明らかになったとき、生理的嫌悪感と、それ以上の衝撃に打ちのめされること請け合いだ。