見どころのフラダンスシーンはなんとモーションキャプチャー!
本作は福島県いわき市のスパリゾートハワイアンズ全面協力のもと、フラガールを仕事に選んだ新人ダンサーたちの友情、恋、成長がみずみずしく描かれたアニメ映画。「よくある青春モノじゃん」と思った方、おっしゃるとおり。しかし、アニメファンからすると深い見どころがたくさんあるんです。
総監督は水島精二さん。原作モノとして「鋼の錬金術師」のテレビシリーズ、オリジナル作品として「機動戦士ガンダム00」のテレビシリーズと劇場版、アイドルアニメ「アイカツ!」、完全オリジナルCG映画『楽園追放』など、テレビに映画、コメディ&シリアス、手描きとCG両方でヒットを飛ばす国内屈指のアニメーション監督です。
そんな水島監督の新たな挑戦が、フラダンスでした。私の知る限り、フラダンスをメインテーマにしたアニメ作品はありません。というのも、フラダンス特有のゆったりとした動きは、一枚ずつ描く手描きアニメ作品としては難しいんです。そこで水島監督はモーションキャプチャー技術を導入して、フラダンスの繊細な動きを表現しました。『楽園追放』で業界に先んじてモーションキャプチャーを取り入れた水島監督ならではの発想です。
水島監督作品に欠かせないもう一つの要素が、音楽。水島監督は私のアニソンDJ仲間でもあり、音楽ディレクションも大いに見どころです。
特に、本作のクライマックスシーンで流れる曲はでんぱ組.inc、ベイビーレイズJAPANらに楽曲提供をするWiennersの玉屋2060%さん作。ハワイアンミュージックとアイドルソングが見事に融合、日本アニメがいま最も得意とするアイドルダンスの表現と相まって、熱量が半端ないシーンになっています。
ラストを飾る主題歌は伝説の加茂啓太郎プロデューサーが担当する「フィロソフィーのダンス」の「サンフラワー」。アイドルポップスの枠を超えた名曲です。
水島監督が「周防正行作品を目指した」とおっしゃるとおり、誰でも楽しめる娯楽作なのですが、その裏にはアニメ好きやアイドル、音楽好きなら見逃せないたくさんの趣向が凝らされているんです。
『フラ・フラダンス』
総監督/水島精二
監督/綿田慎也
脚本/吉田玲子
キャラクターデザイン/やぐちひろこ
美術監督/日野香諸里
制作/BN Pictures
水島精二が総監督を務めたアニメーション映画。キャストは、福原遥、美山加恋、富田望生、前田佳織里、陶山恵実里、山田裕貴、ディーン・フジオカ。全国で絶賛上映中。
©BNP, FUJITV/おしゃれサロンなつなぎ
Text:Yoshito Tanaka
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