徹夜での文字起こしにオサラバ
「文字起こし」や「テープ起こし」と呼ばれる作業には、これまで多くの人が手を焼いてきた。音声データの再生と巻き戻しをちょこまかと繰り返しながら、内容をちょっとずつ文字に起こしていく……。わずか30分の会話でも、正確に書き起こそうとすれば何時間もかかってしまうのが当たり前だった。
しかし、今はAI(人工知能)が人に変わって文字起こしをしてくれるようになった。変換精度も思いのほか高く、出来上がった文章をザッと眺めるだけで、会話の内容を把握できることも多い。徹夜で文字起こしをする日々とはオサラバできるようになったのだ。
ただし、現在は実に数多くの文字起こしツール/サービスが存在しており、どれを選んでいいか判断が難しい。
そこで本稿では、数々の文字起こしツールを使い倒してきた筆者が本当におすすめしたいツールをピックアップ。ツールのキモである変換精度に加え、使い勝手や機能性、料金体系、対応デバイスなど多角的に検討したところ、3つのツールに絞り込むことができた。まずはその顔ぶれをご紹介しよう。
●CLOVA Note
提供元:LINE株式会社
プラットフォーム:PC(WEBブラウザ)、iOS、Android
料金体系:無料
URL:https://clovanote.line.me
LINEが提供する文字起こしツール。利用にはLINEアカウントが必要。現在ベータサービス期間中ということで完全無料で利用でき、特に有料オプションなどは存在しない。300分/月の利用が可能だが、品質向上のためのデータ提供に同意した場合は600分/月まで拡張される。
WEBブラウザ経由で音声ファイルをアップロードして解析を行う。解析後の画面では、文字起こしされたテキストと音声プレーヤが表示され、音声を聞き直しながらテキストを再編集するといったこともできる。
また、iOS/Android向けにスマホアプリも提供されている。スマホを使って録音を行い、ダイレクトに録音データをアップロードし、文字起こしをすることが可能だ。
●Notta
提供元:Notta株式会社
プラットフォーム:PC(WEBブラウザ)、iOS、Android
料金体系:無料/プレミアム(8.25ドル/月)/チーム(18ドル/月)
URL:https://www.notta.ai
高機能な自動文字起こしツール。WEBブラウザからの利用では、音声ファイルのアップロードとリアルタイム録音が可能。さらにこのサービスでは、ZoomやGoogle Meetなどのビデオ会議を文字起こしできる「Notta Bot」という機能や、YouTubeや各種オンライン講座の文字起こしができるGoogle Chrome用の機能拡張が提供されている点もユニークだ。
月額8.25ドル(約1200円)のプレミアム版に加入すると、1カ月あたり1800分まで利用可能。ほとんどの人にとって十分な時間だろう。無料プランもあるが、利用可能時間は最長5分間/月(リアルタイム文字起こしの場合は3分)。本格的に使うにはプレミアム版の加入を検討しよう。また、複数メンバーで記録を共有できるチーム版というプランも用意されている。
●Word Online
提供元:マイクロソフト株式会社
プラットフォーム:PC(Microsoft Edge、Google Chrome)
料金体系:Microsoft 365への加入が必要。個人向けのMicrosoft 365 Personalなら1284円/月
URL:https://www.microsoft.com/ja-jp/microsoft-365
Microsoft 365はWordやExcel、PowerPointといったビジネスソフトを定額で利用できるサブスクリプションサービスだが、その中に自動文字起こし(トランスクリプト)機能が存在する。
文字起こし機能は、WEBブラウザ版の「Word Online」上で利用できる。音声ファイルをアップロードするか、あるいは直接録音を行ってもいい。なお、動作対象となるWEBブラウザはMicrosoft EdgeとGoogle Chromeのみ。MacユーザはMac版のGoogle Chromeを使ってアクセスするといいだろう。
次ページ以降では、この3つのサービスを比較しながら、それぞれのメリット・デメリットをまとめていこう。