通称「クルケシ」遊びの思い出
駄菓子屋に行き、なけなしのお小遣いで買った「スーパーカー消しゴム」。“クルマの形をした消しゴム”だから、通称「クルケシ」。これでいろいろなことをして遊んだ。
クルケシをボールペンノックのバネの反動で弾いてその移動距離を競う、というのが最も一般的な遊び方だったということを、実は私はおとなになってから知った。というのも私と、クルケシ友達だったKくん、Tくんの三人がやっていたのは、別の遊び方だったからだ。
弾いて遊ぶのは同じだが、私たちのは、親指と中指で弾く「おはじきメソッド」だったのだ。このやり方で独自のルールをつくり、競っていたのだが、今回はその遊び方を紹介したいと思う。
① クルケシレース
最初に紹介するのは野外で行うレース形式の遊びだ。少し柔らかい土の地面があればどこでもできた。まず、つま先で地面に溝を作ってコースを作る。片足を引きずりながら移動する感じだ。その溝の内側をコースとし、クルケシを指で弾いて移動させる。一番先にゴールした人が勝ちだ。
コースアウトしたらクルケシを元の位置に戻し、次の番を待つ。手堅く、距離を刻んでいってもいいし、イチかバチか、力いっぱい弾いて距離を稼ぐ方法もある。カーブではリスクを背負って大逆転のショートカットを狙うのもアリだ。指の力の強弱だけでなく精度も必要で、駆け引きも多かった。
平日はもちろん、学校が休みの日は、全長何十メートルというコースで大レースを開いた。特に工事などで一時的に盛り土になっている場所は、起伏に富んだ難しいコースができて最高だった。
アスファルトの路地で、チョーク書きのコースを作ることもできるが、そこには排水口のようなトラップも多いので、基本的には広場や公園の砂場が定番の会場だった。当時流行っていたマンガ『よろしくメカドック』に習って"キャノンボール"などのレース名をつけたりして遊んだものだ。