不可抗力のトラブルは施工会社ではなく施主の責任

ギリギリの状況でやっている施工会社も多い中、その事情を鑑みない高圧的な態度を取られたら、施工会社も「われわれにそんな義務はない」と態度を硬化させてしまう可能性があるからだ。

「そもそも住宅建設において起こる不可抗力のトラブルは請負工事をしている企業だけでなく、施主の責任でもあり、『べき論』で高圧的に話しても施主である自分の首を絞めるだけです。情報を共有し、遅延損害金の覚書を作成しておくなどの準備は大事ですし、水漏れのようなトラブルは施工会社の責任なのでしかるべき対応を求めるべきです。
しかし、不可抗力の値上げや遅延については、『予算は増やせないのですが、設備を削ったり材料を変えても影響が大きくない部分はありますか?』『引っ越しが遅れることで仮住まいの家賃がこれくらい余計にかかってしまうのですが、ある程度負担をお願いすることは可能でしょうか?』と対等な立場で遠慮はせずとも配慮をして相談したほうが、施工会社も柔軟に対応してくれると思いますよ」

予算に余裕を持たせるために、後回しにしても大きな影響がない箇所を見極めることも大事だ。

「庭の植栽やウッドデッキなどのエクステリアや、テーブルやソファなどの家具は、後からゆっくり整えていっても問題のない部分。エクステリアと大物の家具分で人によっては200万円以上の支出が抑えられます。予算に余裕がない場合は、やみくもに建材をグレードダウンするよりも、生活に大きな影響のない部分は一旦保留することも検討しましょう」

まだまだ続く世界的な物価高。注文住宅の購入やリノベーションを検討している人は、思わぬトラブルに巻き込まれないよう、市況を把握しつつ、余裕ある予算とスケジュールを組み立てていこう。

取材・文/田中三呂