「未完成引き渡し」によって水漏れトラブル!?

さらに、希望していた食洗器やトイレ、照明器具などの入荷が間に合わず、やむを得ず未完成のまま住宅引き渡しを行い、入荷次第設置する「未完成引き渡し」によるトラブルも発生している。

「たとえば食洗器や床暖房などを後から設置し、最初は問題なく使えていたものが、しばらく経ってから水漏れが発覚するといったケースが起きています。住宅引き渡し前は、特に水回りは不具合がないように何度も水を流して、現場監督が入念にチェックをするものです。しかし引き渡し後の場合は、取り付けて一度動作を確認して問題なければOKというような簡易的なチェックにならざるをえないことが多く、現場監督が立ち合えないこともあるため、トラブルが起こりやすいのです」(田村氏)

ウッド、アイアン、オイルのトリプルショックで「未完成住宅」トラブルが急増中!_01
画像提供:田村啓氏
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完成まで引き渡しを待てばトラブルは防げるかと思えば、引き渡し日程がずれることでまた別の問題が生じてくる。

「引っ越し時期がずれることで、仮住まいの家賃などの金銭的負担はもちろん、引っ越し準備の仕切り直し、お子さんの転校手続きの調整など、さまざまな手間が発生してしまいます。こうした手間を考えると、一部未完成でも引っ越しを済ませてしまおうと考える方が多いのです」(田村氏)

建材の品番までチェックして、トラブルに備えた覚書を作る

こうした、建材の不足・値上がりによって起きるトラブルを避けるためにはどんな対策を講じるべきなのか。

「値上がりや完成遅延の可能性を考えて、予算とスケジュールに余裕を持つこと、施工会社とコミュニケーションをしっかり取ってコストとスケジュールを常に共有することですね。

打ち合わせで各箇所に使う建材を決めて契約に至るわけですが、各建材の品番までしっかりチェックしておいて、値上がりの際にはどんぶり勘定ではなく建材ごとにいくら値上がりしたのか比較表を提出してもらいましょう。予算の調整が必要な場合はどこを削るべきか検討しやすくなりますし、費用を抑えるために施主に黙って建材のグレードを下げる『ステルス値上げ』を防ぐこともできます。

スケジュールについても、工程表を随時共有して、遅れそうな場合は早めに教えてもらいましょう。また、引き渡しが遅れた場合の遅延損害金や、水漏れなどのトラブルが起きた場合についての覚書を最初に作っておくことをおすすめします」(田村氏)

施工会社とコミュニケーションをとる際には高圧的にならないように注意したい。

「施工会社の怠慢ではなく、世界的な建材不足・値上がりが原因なわけですから、『最初の見積もりと話が違う! 見積もり通りの値段でやるべきだ!』『遅れたのはそちらの責任なんだから、遅延によって発生した費用は施工会社が全部払うべきだ!』などと高圧的な『べき論』で対応してはいけません」(田村氏)