生きやすい人生は「国語力」でつくられる

授業では、喜怒哀楽のそれぞれ4つを示す言葉が書かれたプリントを用います。

「怒」であれば、「むくれる」「いまいましい」「はらわたが煮えくり返る」といった言葉が書かれています。同じ「怒」を表現する言葉でも、それぞれ度合はまったくちがいますよね。

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プリントには大小の「〇」があり、大きな怒りを示す言葉なら大きな〇に、小さな怒りを示す言葉なら小さな〇に書かせます。そして、子供たちに感情には様々なグラデーションがあることを教え、次のように教えるのです。

「君たちは怒りを何でもかんでも『殺す』といった言葉でまとめてこなかったかな? 怒りが『いまいましい』なのに『殺す』と言ったりすれば、感情と行動が違うものになってしまうよね。感情を細かくわけるというのは、それに合った行動をとれるようになるってことなんだ。これが感情をコントロールすることだと覚えてほしい」

こうして初めて子供たちは多様な言葉を身につけ、感情をグラデーション化させ、それに合った行動を取ることが、生きやすさにつながるのだと気がつくのです。

これは一般の子供にも応用できることでしょう。中高年層も同様です。自分の感情を細かな言葉で把握し、それに適した行動をとる。それが物事を円滑に進めていくのに必要なことなのです。

文部科学省は、こうした生きるために必要な言葉の力を「国語力」と呼んでいます。

その国語力をどう育んでいくのか。全国で行われている多種多様な取り組みについては拙著を読んでいただきたいと思います。

言葉は生きる上ですべての基礎となる力です。家庭格差があまりに大きくなった今、それは意識して手に入れようとしなければ、なかなか身につかない能力となっています。そして、それが生きづらさと生きやすさの分岐点になります。

すべての人々が生きやすい人生を手に入れるために、国語力再生の取り組みに目を向ける必要があるのです。

取材・文/石井光太