RTAもeスポーツもゲームへの情熱は同じ
――RTA in Japan Summer 2022にはどのような意気込みで参加されたのですか?
プロとしての実力はもちろんのこと、エンタメ要素を多く盛り込み、見ている人に楽しんでもらうことを意識していました。
もともと自分がRTAをはじめるきっかけとなった走者(プレイヤー)が、プレイも解説も上手な方だったんです。その動画が非常に面白くて、自分も視聴者を楽しませたい、好きなゲームの魅力を強く伝えたいという思いが自分のRTAの出発点でした。
――reoruさんのRTA中には、終電RTAがトレンド入りを果たしていましたね
ちょうど自分の出番が終わるのが終電ギリギリの時間だったので、これを利用しない手はないと。「終電に間に合わないかもしれない。終電に乗って帰るために一刻も早くクリアしなくてはならない」という裏事情を共有すれば、視聴者も一段と楽しめるのではないかと思ったんです。といっても、コメント欄が盛り上がればいいな程度に考えていたので、自分のRTAが「終電RTA」と呼ばれ、しかもそれがトレンド入りまでしたことには驚きました。
プロになるまでは自分の腕を磨くことに集中していたのですが、プロ入りしてからはもっと多くの人にゲームの魅力を知ってもらいたいと思うようになりました。
イベントに参加する度に、ぷよぷよにはもっと多くの人に楽しんでもらえる可能性があると感じます。何よりゲームに注目が集まり業界が活発化することで、賞金の出る大会が増えたり、プロゲーマーが憧れの職業になったり、ゲームに本気で打ち込んでいる人が報われる世の中になればいいなと考えているんです。
ゲームの魅力を知ってもらう上で、RTAは普通にプレイするよりも注目を集めやすいゲーム形式だと思います。とはいえタイムが遅くては本末転倒なので、プロとしてクリアは早く、テクニックは上手く、そして面白いことを常に意識しています。
RTAとeスポーツは比較されがちですが、ゲームにかける情熱に差はありません。RTAから興味を持ってeスポーツへ、eスポーツからRTAに取り組んでというように、お互いに良い影響を与えてゲーム業界全体が盛り上がってほしい。
RTAとeスポーツ、どちらもやっている自分はその橋渡しになりたいんです。
取材・文/笠木渉太
#2 「連続30時間プレイ」「同一ソフト800本保有」達人に聞くRTAの魅力
#4 星野源も「2021年で一番面白かったエンタメ」と絶賛! 筋肉で約6.7億円を動かしたRTA走者