――それにしても東京オリンピックの友香子選手は頼もしかった。決勝の相手、キルギスのティニベコワも強い選手でしたが、まったく怯む様子がありませんでした。
過去の対戦成績が1勝2敗。2回連続で負けて、オリンピック前のアジア大会で私が勝ってという相手でした。オリンピックの時はゾーンに入っていて、試合だしもちろん緊張はしていたし、楽しかったまではいかないけど、いつもの試合ほどプレッシャーを感じずにできていました。
――調整がうまくいった?
ウエイトトレーニングもずっと専門の方に見てもらって、レスリングもコーチに指導を受けて、これで負けたら仕方がないと思えるほど追い込んで出来たので、そういう気持ちで臨めたのだと思います。「これ以上はない」って言えるくらい、いい準備ができました。
――とはいえ、メダルがかかってからは接戦の連続でした。準決勝、ブルガリアのユセインとの試合も先に2点を奪われ0対2になった。焦りませんでしたか?
その時の自分の心理状態にもよるんですけど、オリンピックの時は「取り返すからいい」と思っていました。出場できなかったリオ五輪からの5年間の変化でしょうか。肩をケガして練習もできなかった。「レスリングができない」という気持ちが原動力になって、ケガが治ってからは毎日(全体練習の後に)残って練習もしてきた。ひとつひとつの積み重ねがあって、自信が生まれたんでしょうか。
――そして、終わってみたら「もっと強くなれる」と。
オリンピックに向けて調整している時点では「これ以上ない」と思っていたけど、終わってみて「もっと強くなれる」と感じたんです。
――伸びる余地はどの辺だと感じていますか?
私はほかの選手に比べて特徴がないので、それが私の強みです。強くなれると思ったのも、具体的にここをこうすればじゃなくて、自分が直感的にそう思った。その気持ちを信じてやっています。