働きづらさの原因が「発達障害」ということも
「メンタルヘルス不調により休職した患者さんを診療していると、発達障害の特性を持っていることが判明するケースはよくあります。ご本人には自覚がなくとも、発達障害が原因で、働きづらさや『職場でうまくやれない』という想いを感じるようになった方もたくさんいます。
発達障害の二次障害(※発達障害という一次障害を周囲に理解されずにストレスを感じ、自己肯定感が下がった結果、身体・精神に症状が現れること)として、抑うつ状態や適応障害などの症状が出ているケースを、これまで多く見てきました」
そう話す亀廣聡先生は、『リワーク専門の心療内科の先生に「働きながら発達障害と上手に付き合う方法」を聞いてみました』(日本実業出版社)の著者であり、大阪・枚方市にある「ボーボット・メディカル・クリニック」の院長だ。
抗うつ薬・抗不安薬・睡眠薬を処方しない職域メンタルヘルス専門のクリニックとして、メンタルヘルス不調による休職者や、復職後の再発経験を持つ患者などから高い信頼を得ている。
「発達障害の方がうつに陥るきっかけとしてよくあるのが、本人が苦手とすることを任されたこと。たとえば、それまでプレイヤーとして活躍してきた人が部下のマネジメントをすることになったり、プロジェクトのチームを任されて『このチームは君に委ねるから』と上司に言われたり。
本来であればチームリーダー拝命はキャリアアップとして、誇らしく嬉しいことかもしれません。でも、発達障害を持つ人にとってはリーダーとして具体的にどうすればいいのかわからず、ただ困惑してしまうことも多いんです。
それでも仕事の期日は迫り、やるべきことは山積みでどんどんストレスが溜まっていく。その結果、朝起きたときに突然仕事に行けなくなって休職、というパターンは、発達障害が原因で適応障害になった患者さんによく見受けられます」