タイプ③:関東・関西の周辺地域

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図6 進学者流動(埼玉県・兵庫県)

地方の中心県と対照的なのが、関東や関西の周辺地域となる県だ。典型的なのが埼玉県で、全国から流入してくる学生は多いものの、それ以上に東京や神奈川への流出が多い。兵庫県も同様で、両県は全体としては流出超過の状態となっている。千葉、山梨、群馬など、関東の周辺県はおおむね同じような傾向を示す。

ただし、同じ大都市圏周辺地域でも、滋賀県では流入のほうがやや多い。京都府に対しては流出超過であるものの、大阪への流出は流入に相殺されており、ほとんどの他地方の県に対しては流入が上回る。
滋賀県には滋賀大学・滋賀医科大学・滋賀県立大学の3つの国公立大学のほか、立命館大学のびわこ・くさつキャンパス(BKC)も置かれている。ただし、現在BKCにある情報理工学部・研究科は、2024年に大阪いばらきキャンパスに移転することが決まっている。2500人近い学生が移転することになり、今後の進学流動にも影響を与えそうだ。

タイプ④:地方の周辺地域

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図7 進学者流動(静岡県・沖縄県)

最後のタイプはここまで挙げた都道府県以外の多くが当てはまる。いずれも流出が流入を大幅に上回る県だ。といっても、流出超過の程度は県によってかなり差がある。

もっとも流出超過数が大きいのは静岡県で、差引で-8000人ほどとなっている。静岡県は輸送用機械や製紙、飲料(茶)など製造業が集積しており、県内総生産では全国10位と経済的には比較的安定した県である。しかし、人口当たりの大学数が少なく、何よりも三大都市圏のいずれにもアクセスしやすい立地であることが災いして、他県への流出が極めて多くなっている。

静岡県と対照的なのが沖縄県で、流入数が少ないために結果として差引流動がマイナスになっている。流入数は全国でも最下位だ。大学数自体はそれほど少ないわけではないが、いかんせん距離が離れているため、どうしても他県から進学する人は少なくなってしまう。