コロナだけじゃない! 帯状疱疹、破傷風...受けておいたほうがいい、大人のワクチンリスト
山田悠史医師は、ニューヨークにある大学病院で「老年医学専門医」として高齢者の診察を行なっている。日々患者と向き合いながら、約1年をかけて書き上げたという新著『最高の老後 「死ぬまで元気」を実現する5つのM』には、正しいエビデンスに基づいた「健康寿命」を延ばすためのヒントが満載だ。今回は「大人こそ打っておきたいワクチン」について、山田医師に教えてもらった。
「副反応」よりメリットに目を向けよう
コロナワクチンとインフルエンザワクチンは“同時期に接種してもいい”とされていますが、「異なるワクチンの接種間隔」は、厚生労働省がルールを設けています。詳しくはかかりつけ医、またはワクチン接種を行う病院に相談してみてください。
接種スケジュールを管理するのが面倒だと感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、破傷風ワクチンは10年に1回、帯状疱疹ワクチンも1度済ませてしまえば、インフルエンザワクチンのように毎年打つ必要はありません。そのため「この1年間で接種を完了させるものは?」といった中期的な計画を立てると、ワクチン接種の予定も組みやすいと思います。
コロナワクチンで経験した方はことさら「ワクチンの副反応」が気になるところでしょう。ですが、現在広く使用されているワクチンは科学的にメリットとデメリットを天秤にかけた際、メリットが上回るからこそ接種が推奨されているものです。
ワクチンは「防災訓練のようなもの」と冒頭でお伝えしましたが、副反応はまさに、体の免疫が避難経路のシミュレーションや防衛手段を確認するためのトレーニングを行っている際に出る砂埃のようなもの。そうしたトレーニングがあってこそ、実際の災害、つまり病原体の侵入時に、被害を最小限に食い止めることができるのです。
実際の災害>>>副反応だからこそ、ワクチン接種を受ける意義があります。副反応を正しく理解することも、ワクチンのメリットを享受するための大切なポイントだと思います。
取材・文/金澤英恵 撮影/金栄珠(講談社写真部)
最高の老後 「死ぬまで元気」を実現する5つのM
山田悠史
2022/6/24
1,980円
単行本(ソフトカバー) : 384ページ
ISBN:978-4065285664
高齢者の2割には病気がないことを知っていますか?
今から備えればまだ間に合うかもしれません。
日本人の平均寿命は男性が81歳、女性は86歳。
でも、元気に自立した生活を送ることができる期間である「健康寿命」は、男性なら約72歳、女性なら約75歳と報告されています。
日本人は最後の約10年を、支援や介護を受けて生きているのです。
・65歳以上の約10人に1人は車椅子か寝たきり
・65歳以上の約6人の1人は認知症
・65歳以上の約3人に1人は5種類以上の薬を毎日飲んでいる
・65歳の約5人の1人は、少なくとも1つ以上の慢性疾患をもつ
・死に直面している人の約10人中7人は自分で意思決定ができない
これらの現実をどうしたら変えられるか、最後の10年を人の助けを借りず健康に暮らすためにはどうしたらよいのか、その答えとなるのが「5つのM」。
カナダおよび米国老年医学会が提唱し、「老年医学」の世界最高峰の病院が、高齢者診療の絶対的指針としているものです。
【5つのM】
Mobility ーーからだ
Mind ーーこころ
Multicomplexity ーーよぼう
Medications ーーくすり
Matters Most to Me ーーいきがい
ニューヨーク在住の専門医が、この「5つのM」を、質の高い科学的エビデンスにのみ基づいて徹底解説。
病気がなく歩ける「最高の老後」を送るために、若いうちからできることすべてを考えていきます。
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