年功序列のメリットは!?

こうした中、少子高齢化による中高年社員の増加、転職の一般化などから、日本型雇用慣行は制度疲労を起こしており、時代にそぐわないものになっていると言われて久しい。実際に、賃金カーブのフラット化など年功序列の仕組みを修正していく動きは緩やかではあるものの、日本の大企業でも進んできている。将来の報酬体系のあり方を考えれば、この構造は緩やかに解消に向かっていくだろう。

そもそも、女性活躍の進展によって男女ともに稼ぐ世の中になっているのだから、40代、50代でもそこまで高い給与を得なくてもそれなりの生活を送ることができるようになってきているとも考えられる。

ただ、家計収支の全体像をみてもわかるとおり、ライフサイクルに合わせて安定した生活を送れるという年功給の持つメリットは案外大きいものである。定年前、家計支出が最も多くなる時期に多くの給与が保証される仕組みは、日本企業の優しさゆえともいえる。実際に各種意識調査などをみても、従業員の報酬はあくまでその人の能力やその人が上げる成果によってのみ決まるべきだという人もいるが、企業において安定した生活を送りたいという声も根強い。

企業が従業員に対して安定した生活を送れるだけの報酬を支払いつつ、従業員側も安心して仕事においてパフォーマンスを上げるというシステムには一定の合理性がある。生活給の側面は時代の経過とともに徐々に薄れていきつつも、多くの企業において給与体系が完全に成果給や職務給に置きかわることは今後もないだろう。