高年齢者全体で収入を得る人は非常に少ない

この調査が集計しているのは、民間給与所得者でかつ一年間を通して就業している人の給与額の平均値である。現役世代の収入については給与所得者のデータで概ねその全体像がわかるが、高齢就業者は自営業者であることも多く、サラリーマンとして給与を得る人はそこまで多くない。定年前後以降の年収分布をより仔細にみるために、また自営業者を含む就業者全体の給与を調べるために分析を行ったものが下図となる。

定年後の年収は300万以下が大半⁉️ 歳を重ねるごとに収入水準は減少_2
(出典)リクルートワークス研究所「全国就業実態パネル調査」

ここからも、定年以降は年齢階層が上がるにつれて所得が徐々に低下していく様子が確認される。60歳以降の就業者全体の年収分布をみていくと、60代前半では平均収入は357万円で、上位25%所得は450万円、収入の中央値は280万円となる。60代後半に目を移すと平均額は256万円まで下がり、上位25%所得は300万円、中央値が180万円まで下がる。定年後の就業者の収入の実態を探っていくと、300万円以下の収入の人が大半であることがわかる。

また、収入の平均値やその分布は、就業者を分母として算出される。このため、当然であるが非就業者は算定の対象外になる。定年後は非就業となる人、つまり収入がゼロになる人が多くいるため、高年齢者全体である程度の収入を得る人は非常に少ないというのが実情ということになる。