ザイラはものすごく才能のある女の子!

1980年代NY、地下生活者母娘の営みと現代ホームレスの声なき声。『きっと地上には満天の星』監督インタビュー_15
唯一無二の演技を見せたザイラ・ファーマー。素晴らしい感性を見ることができる。
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──ワオ、congratulation! 最後になりましたが、リトル役のザイラ・ファーマーさんが本当に素晴らしいですね。時々、自分を人に任せ、地上へと出かける母親から、『背中からまだ羽が生えていないので連れていけない』と言われ、それを信じている風情や、その後、母親と共に地上に出て、想像とは違う世界に戸惑う表情など、演技とは思えないナチュラルさで、どうやって演出されたんですか?

セリーヌ「ザイラはすごく才能のある女の子で、今も、ご家族ともども仲が良く交流しています。本作は製作費の都合がつかなくて、一度、製作が中止になり、撮影まで1年間、ザイラを待たせることになったのですが、その時間を利用して、ザイラに合わせて脚本のリトルの役をリライトしました。また、私たちは手持ちカメラでの機動的な撮影が好きで、本作でもその手法を多用していますが、同時にそれは、ザイラの動きに合わせて撮影できるようにという配慮もありました」

ローガン「ちなみに撮影を担当したカメラマンのローウェル・A・マイヤーは僕たちの短編『Caroline』(2018)やテレビドラマ『サーヴァント ターナー家の子守 シーズン3』(2022)でもタッグを組んでいる親友ですが、彼にも撮影の1カ月前からザイラと会ってもらって、ザイラにカメラ慣れしてもらいました。その準備もあり、現場では『アクション!』という言葉を掛けず、ゲーム感覚で、いつの間にか静かにカメラが回り始めているという風にしました」

セリーヌ「ザイラの演技は自由な形でやってもらい、ご両親には事前に撮影で何をするかの説明をしていましたが、彼女自身には脚本は読ませんでした。彼女が知るべきじゃない事柄についてはしっかり、その情報が彼女に届かないように配慮しましたし、物語上のデリケートな場面では、本人ではなく、私たちがリトルのウィッグを被って撮影したところもあります。子役なので、撮影時間にも制限がありましたし、何より、彼女の髪があまりにも美しくて、他に吹き替えのダブルをみつけることができなかったということもあります。彼女の演技を日本の皆さんに見てもらえるのが楽しみです」

きっと地上には満天の星

1980年代NY、地下生活者母娘の営みと現代ホームレスの声なき声。『きっと地上には満天の星』監督インタビュー_16

地下鉄の廃トンネルで育ったリトルは、まだ夜空を知らない──。

ニューヨークの地下鉄のさらに下に広がる暗い迷宮のような空間で、ギリギリの生活を送るニッキーとリトルの母子。暗闇の中で互いに助け合うコミュニティがある中、不法居住者を排除しようとする市の政策が進み、コミュニティはやがて追い詰められることに……。

1990年代、ニューヨークの地下生活者の暮らしぶりをリサーチしたルポルタージュ、ジェニファー・トスの著書『モグラびと ニューヨーク地下生活者たち』から発想を得て、作られた作品。第 77 回ヴェネチア国際映画祭国際批評家週間出品、マリオ・セランドレイアワード最優秀技術貢献賞受賞、第27回 SXSW映画祭審査員特別賞受賞、第13回 PAGE 国際脚本賞 最優秀ドラマ脚本賞受賞など高い評価を得ている。

監督・脚本:セリーヌ・ヘルド&ローガン・ジョージ
製作:アンソニー・ブレグマン、ジョシュ・ゴッドフリー
製作総指揮:キンバリー・スチュワード
撮影監督:ローウェル・A・マイヤー 編集:ローガン・ジョージ
音楽:デヴィッド・バロシュ
出演:ザイラ・ファーマー、セリーヌ・ヘルド、ファットリップ、ジャレッド・アブラハムソンほか

2020年/アメリカ/英語/ビスタサイズ/カラー/5.1ch/90分
原題:Topside
配給:フルモテルモ

© 2020 Topside Productions, LLC.All Rights Reserved.

8月5日(金)からシネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開

『きっと地上には満天の星』公式サイト

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