コンテンツへの”愛”がIPを持つ企業を動かした

石川氏がブロックチェーンに関心を持ち始めたのは2017年頃。当時ブロックチェーンを活用したゲームが脚光を浴び始め、それに関連したコミュニティで起きていた異様な盛り上がりを目の当たりにした。

「コミュニティには、全体でわずか1万人ほどしかいない。でも、ライブビューイングとか仮想空間上でイベントを開催すると、ワーッと盛り上がるんです。しかも、ブロックチェーンを用いれば、NFTやトークンを発行することで参加者にインセンティブを提供して活動を盛り上げることもできる。これには可能性を感じましたね」(石川氏)

さらに、石川氏はゲーム以外にもこよなく愛しているものがある。その1つが「マンガ」だ。インタビューの際には「週刊少年ジャンプで『ONE PIECE』や『SAKAMOTO DAYS』などを読んでいるし、少年ジャンプ+も愛読しています」と語るほどだ。

このコンテンツへの愛が、IPを持つ各企業を動かしたのだろう。Gaudiyのホームページを見ると、集英社以外にもIPを持つ企業がGaudiyとパートナーになっていることがわかる。

「ジャパニメーション」という言葉が象徴するように、日本は世界に誇るIPを数多く生み出している。後編で触れるが、これらはWeb3時代においてキラーコンテンツになりうる可能性があり、IPを持つ企業とタイアップできるのは大きな強みになる。わかりやすい例では、影響力があるIPに関連したNFTを発行できれば、それは大きな経済的価値を持つ可能性が高い。

1万人を超えるファンが集う。「約束のネバーランド」公式ファンコミュニティ誕生物語_2

石川氏は自身がIPを持つ企業とタイアップできた理由をこう分析する。

「普通、NFTビジネスで協業を打診する際は”儲かる”ことを前面に出します。しかし、自分はコンテンツのファンなので、まず”ファンが喜ぶ”にはどうすればいいかを考える。これにより競合企業と異なるアプローチができ、良い関係が築けたのだと思います」

そんな石川氏の想いが身を結び、タイアップが実現した事例の1つが、「約束のネバーランド」のファンコミュニティ「みんなのネバーランド」なのだ。