右脳と左脳の働きを意識する

では、3分のプレゼンで相手の心を動かしたい場合、どのようなポイントに注意する必要があるのだろうか。業種や商材は多種多様だが、ほとんどの場合に当てはまる4つのテクニックを駆使することで相手の興味・関心を引きやすくなるという。


❶「自分ごと」になる質問をする

プレゼンの導入では、相手に対して「はい」か「いいえ」で答えられる質問を問いかけることがおすすめと前田さん。これは「クローズドクエスチョン」と呼ばれる質問方法で、限定された選択肢から相手の考えを明確に把握できるだけでなく、聞き手が話をリードしやすくなる効果がある。

「例えば、昼ごはんを食べに誘うときに『何が食べたい?』というのはオープンクエスチョンです。相手に判断を委ねているように見えますが、真剣に考えていない相手からは明確な答えは得られにくい。一方、『焼肉とお寿司どちらにします?』という具体的な選択を提示すると、相手は選んだ時点でその話題が自分ごととして認識するようになるのです」

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プレゼンの冒頭は、クローズドクエスチョンを使って相手の注意を引きつけよう(出典:前田鎌利著『完全版社外プレゼンの資料作成術』)

❷インパクトのある数字を見せる

相手の感情を動かすためには、文章よりもビジュアルなどの視覚で相手の右脳を刺激するような情報が効果的だ。しかし、数字などのデータがまったく不要なわけではない。そのため、手持ちの情報から意外性のある数字を強調することで相手の関心を引くことができる。

「『5000万円、これは何の数字だと思いますか?』といったインパクトのある数字を見せてから、本題のトークに入る方法です。意外性が強い数字ほど、自分がこれから話す内容に興味を持ってもらえます」

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インパクトのある数字を見せることで、相手の興味を刺激する(出典:前田鎌利著『完全版 社外プレゼンの資料作成術』)

❸自分を伝えるエピソードを伝える

初めて会った相手であれば、プレゼンをする自分のことはまったく知らないことが前提となる。その場合、自分自身が何者で、なぜ今このようなことをしているのかについてのエピソードを自己開示することで、相手の関心や共感を得られやすくなるという。

「人は生まれも育ちも違うため、誰もが自分だけのエピソードがあるはずです。例えば、今私は書家として活動していますが、これは小学校2年生の担任に字が汚いと言われてショックを受け、字の上手さの基準はなんなのかを考え始めたことがきっかけです。こうした個人の経験には嘘がなく実感を伴っているため、相手の共感を得られやすくなります」

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自らのエピソードを話すことで初対面の相手の共感を得やすくなる(出典:前田鎌利著『完全版 社外プレゼンの資料作成術』)

❹思い切った宣言で相手を刺激する

プレゼンの冒頭で、誰もが思いもしないようなテーマを「宣言」して問題提起をすることも効果的だ。その具体的な理由や説明は後から行うが、最初の宣言に驚きの表情が出るようであれば相手の感情を動かしたと言えるだろう。

「私の書道教室の入会を呼びかけるスライドの冒頭は『手紙は毛筆でしか書かない!』という宣言から始まります。これを見た人は呆気に取られた表情をしますが、続けて手紙を毛筆で書いている理由やエピソードを説明すると、納得の表情を浮かべて話に聞き入ってくれます」

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思い切った「宣言」をすることで、相手の感情を動かす(出典:前田鎌利著『完全版 社外プレゼンの資料作成術』)