こころの不調を改善する「生活習慣のパターン化」
職場や仕事のことが原因で気分がふさぎがち、仕事がつらいと感じる…。いわゆる「病みやすい」人は、本人の「ものごとの考え方・捉え方の癖」によるところもあると亀廣先生は考える。亀廣先生のクリニックでも、グループワーク等を通じて指導を行っている。
一方で、こころの不調を改善する方法としてすぐに取り入れられるものに「生活習慣のパターン化」があるという。具体的な方法を教えてもらった。
1.朝の過ごし方
「太陽光が生体リズムを司る『視交叉上核』という部位を刺激します。すると、夜間に盛んになっていたメラトニン産生(※細胞で物質が合成・生成されること)が減速します。そして生体時計をリセットします。
ですので、毎日同じ時刻に起きるようにして、起床後は1時間以内に30分程度朝日を浴びましょう。太陽光にはブルーライトが多く含まれていますので、脳を覚醒させる働きもあります。
日中の太陽光を浴びることは、体内でセロトニンと呼ばれる気分安定作用のある物質の産生に役立ちます。セロトニンの量が増すと、睡眠にとって重要な役割を果たすメラトニンの産生も増えます。
日光浴といっても外に出て直接太陽光に当たらなくても構いません。光が射し込む窓際で朝食を摂る、新聞を読んで過ごすといった程度で大丈夫です」
2.夕方以降の過ごし方
「起床後15時間前後からメラトニンという睡眠に関係するホルモンが分泌されます。セロトニンから作られるメラトニンには抗酸化作用があります。睡眠中にお肌のコンデイションを整えてくれるのはこのメラトニンの働きです。
この働きを正常化させるために、夕方はできるだけ夕陽を見る習慣をつくりましょう。夕陽に含まれる波長の長い赤やオレンジ色の光はメラトニンを30パーセントも多く分泌させます。そしてメラトニンが睡眠中に成長ホルモンの分泌を促進して疲労を取り、翌日のパフォーマンスにつながります。
夕方以降にブルーライトを放つパソコンやスマートフォンを使うと、メラトニンの産生が進まず、しかも脳の興奮状態がつづくことになってしまうので、なるべく控えるのが理想。
ただ、夜まで働くビジネスパーソンにとっては現実的でないかもしれませんので、たとえばリモートワークが可能な人は、夕方からはブルーライトカット効果のあるオレンジ色のサングラスをかけて仕事をすることをおすすめします。
メガネ屋さんなどに売られているもので問題ありません。(遮光レンズCCPのLYかYLかOYが適切)。寝る前までつけたままで過ごすとなお良いです」
3.睡眠の取り方
「基本的に睡眠をしっかり取ることが大事ですが、眠れないからといって睡眠薬に頼ったり、寝酒をしたりするのは絶対にやめるべきです。
なかなか寝付けなかったり、明け方に目覚めたりする生活が続くと体内時計がずれていき、『概日リズム障害』になってしまうことがあります。概日リズム障害を放置すると、うつなどの気分障害につながってしまうリスクがあると言われています。
日中のカフェイン摂取(コーヒー、エナジードリンクなど)が睡眠に影響を与えることも多いので、夜になかなか眠れないという人は、カフェインをどの程度摂っているか振り返ってみましょう。朝一杯のコーヒー程度にとどめ、摂取量を減らすことをおすすめします」