共働き夫婦が「最高のチーム」になるための3つの対話術
「対話ができる関係性」づくりができたら、いよいよ対話を進めていこう。パートナーと「最高のチーム」になるための対話術を3つ教えてもらった。
1. 自分を主語にした「Iメッセージ」で伝える
2. 怒りではなく「一次感情」を伝える
3. 答えを無理に出そうとしない
「1つ目のポイントは『自分』を主語にして伝えることです。『あなたはなぜ、いつも〇〇なの?』などと相手を主語にする『YOUメッセージ』は、相手の気分を害したり相手を萎縮させたりする可能性も。
そこで『私は〇〇を手伝ってくれると嬉しい』などのように、主語を自分に変える『Iメッセージ』を使ってみてください。同じ内容であっても相手が受け入れやすくなるはずです」
2つ目は「怒りではなく『一次感情』を伝える」ことだ。
「パートナーと話し合おうとすると、つい感情的になって言いすぎてしまうことはありませんか?
怒りは『二次感情』と言われ、その手前に『寂しい』『悲しい』といったネガティブな『一次感情』が隠れています。怒りをぶつけたくなったら、少し冷静になって『〇〇が一緒にできなくて寂しかった』など一次感情を開示してみると、より相手に伝わりやすくなります」
最後のポイントは「答えを無理に出そうとしない」ことだという。
「どれだけ対話を重ねても平行線で、お互いが納得できる答えが出ないケースもあるでしょう。そうなると、対話自体が怖くなったり、関係性がかえって悪化したりすることも。
そういうときは、1つの答えを出すことに執着しなくてもよいと思います。A案とB案の両方を共存させる、C案という第3の選択肢を考えてみるなど、視野を広げて柔軟に考えたら決着するケースもあります」
さらに「いったん保留にするという選択肢も検討して」とあつたさん。
「ライフイベントには、家の購入や子どもをもうけるかなど、唯一の答えを出す必要がある事柄もあります。例えば共働きカップルの多くが悩む子どもに関しては、『持つか、持たないか』の二択で考えるのではなく、まずはお互いの考え方や抱えている不安を共有することから始めてみてください。
『子どもは欲しくない』という言葉には、出産の痛みへの恐怖心や、仕事と育児の両立への不安などさまざまな理由があるはず。無痛分娩の病院を探したり、自治体の支援制度やベビーシッターなどについて情報収集することで、不安が解消する可能性もありますよね。
子どもは希望しても必ず授かるとは限らず、また話し合いが長期戦になる場合もあります。大切なのは、定期的にお互いの率直な気持ちや価値観を共有し、粘り強く対話を続けていくことではないでしょうか」
人生を共に歩もうと誓ったパートナーであっても、価値観の違いに直面し、ときにわかり合えず衝突してしまう場面もあるだろう。価値観が異なる相手と対話を重ね、共に家庭を運営していくのは決して容易いことではない。
しかし「ライフ」と「キャリア」が切り離せない今の時代だからこそ、パートナーシップに真正面から向き合うことは、豊かな人生にも繋がるはずだ。
取材・文/安心院 彩