〝琉球トルネード〟でつかんだ「沖縄の悲願」 島袋洋奨(興南)
1998年の横浜の次に春夏連覇を達成したのが2010年の興南(沖縄)であり、その立役者が、左腕エースの島袋洋奨(元・ソフトバンク)だ。
身長172センチという小さな体をめいっぱい大きく使おうと編み出した投げかた、「琉球トルネード」から繰り出すキレのあるストレートと変化球で三振を奪うのが島袋の得意のパターン。
はじめて甲子園に出場した2009年春、第81回センバツ大会で「1試合19奪三振」を記録し、全国区の投手になると、2010年春、第82回センバツ大会でも1回戦から14個の三振を記録。その後も順調に勝ち進み、決勝では東京の雄・日大三と対戦。互いに5点を取り合って延長戦にもつれこんだが、島袋は延長12回をひとりで投げきり、興南がセンバツ優勝を達成した。
春に優勝できても、夏の甲子園では頂点に届かなかったのがそれまでの沖縄県勢。沖縄の悲願、ともいえた「夏制覇」と「春夏連覇」をかけて臨んだ第92回夏の甲子園でも、「打倒! 興南」を合言葉にむかってくる全国の強豪校を撃破。決勝戦では、神奈川の強豪、東海大相模を退け、史上6校目の春夏連覇を達成した。
島袋は2010年春・夏の甲子園で11勝0敗、102奪三振を記録。年間奪三振数は歴代3位。年間10勝以上は松坂大輔(11勝)以来であり、2000年以降では島袋以外、誰も達成できていない快挙だった。