ドラマに反映された、時代の女性像
だが、1978年の表紙に見て取れる最大の特徴は、実はTVドラマの主演女優の比重の重さだ。前年の1977年に『地上最強の美女たち! チャーリーズ・エンジェル』と『地上最強の美女バイオミック・ジェミー』が日本テレビで放送を開始。それと連動するかたちで、ロードショーでも特集を展開している。
『チャーリーズ・エンジェル』総力特集(3月号)『チャーリーズ・エンジェル』22話全紹介(4月号)「帰って来た『バイオミック・ジェミー』」『チャーリーズ・エンジェル』総集編(6月号)「TVシリーズ 花のヒロイン大集合!」(7月号)「40テレビシリーズカラー名鑑」(8月号)「日本で会ったL・ワグナー」(10月号)「リンゼイ・ワグナー 魅惑のポートライフ」(11月号)「付録ポスター 新チャーリーズエンジェル」(12月号)と、映画誌としては異例の割合だ。
アメリカのTVドラマは早くから日本でも放送され、50~60年代には、西部劇『ローハイド』、医療ドラマ『ベン・ケーシー』、アクション『スパイ大作戦』などが人気を呼んだ。しかし女性が主役のドラマといえば、『アイ・ラブ・ルーシー』『奥さまは魔女』などかわいい主婦のシットコムばかりだったのだ。それが70年代のウーマン・リブの波を受け、映画やドラマの世界でも自己主張する女性像が求められるようになってきたのだろう。華やかなファラ・カットをなびかせて、にっこり笑いながら悪を倒していくヒロインたち。二大ヒット作のうたい文句がそろって“地上最強の美女”なのも納得だ。