日本風の名前を名乗る海外プロデューサーも

2017年ごろから盛り上がり始めたLo-fi ヒップホップのブームは、未だ下火になるどころか、さらに幅広く支持を集めている印象だ。面白いことに、海外出身のLo-fi ヒップホップのクリエイター/プロデューサーが、日本風の名前を名乗るケースも。

例えば、potsu(ポツ)はラッパーの故XXXTentacionがかつてサンプリングの元ネタにしたこともある、界隈では有名なクリエイター。彼はカタカナで「ポツ」と大きく記したジャケットのシングル群をリリースしたことも。

また、記憶を刺激するセンチメンタルな音色のYASUMU(ヤスム)はドイツ人プロデューサー。Lofi Recordから作品を発表しているKudo(クド)は米サクラメント出身。有名プロデューサーの一人、J‘san(ジェイサン)はフランス人だし、繊細で柔らかな音作りにそこはかとないダークさが宿るKanisan(カニサン)は25歳のトルコ系フランス人プロデューサーだ。日本風の曲名やアルバム名も、枚挙にいとまがない。

最後に、ぜひ注目しておきたい日本人トラックメイカー/プロデューサーにも触れておこう。まず、DJ FRIP a.k.a Beatlabは7月に発表したばかりの‘Tokyo Spriff’をはじめ、心地よい別世界感を味わえる。

Lofi GirlのレーベルLofi Recordsから作品をリリースしているOsakiは、既にPurrple CatやJ‘sanなど有名プロデューサーらともコラボ済みだ。ヒップホップとジャズの間を端正に行き来するKazumi Kanedaの名前にも、ぜひ触れておきたい。

また、KomachiやShimon Hoshinoのようにコンスタントに良質の曲をリリースし続けている若きプロデューサーたちもいるし、既にビッグネームでLo-fiヒップホップだけには括りきれないキャリアを持つ、DJ Mitsu the BeatsやShin-Skiらのさすがの巧みさにも聞き入りたい。

現在進行形のジャンルとして、今もまだ新しく素敵な音楽が生まれ続けているLo-fi ヒップホップ。疲れた夜中や癒されたい日にもぴったりのこの音楽、ぜひチェックを。


文/妹沢奈美