2020年の10月に「温泉マイスター」の資格を取得しました。一応、最初に同資格の説明を簡単にしておきます。

「温泉ソムリエ」「温泉マイスター」「温泉保養士」「温泉観光士」「温泉観光アドバイザー」などと、「温泉」と名のつく資格はいくつもありますが、なかでも「温泉マイスター」は『別府温泉地球博物館 』が主催する講習会を受けたのち、筆記試験と実技試験を突破しなければなりません。「温泉マイスター検定」は年2回、春(2月)と秋(10月)に大分県別府市で開催され、温泉関係の資格では最難関とも言われている......とのことです。

そんな「温泉マイスター」から、ぜひ皆さまに知っていただきたい素敵な温泉宿をご紹介します。それが、福井県あわら温泉にある『ホテル八木』です。

黒船の進出によって、改革を余儀なくされた老舗旅館

JR福井駅からえちぜん鉄道に乗り換え、40分ほど二両編成の電車に揺られると『あわら湯のまち駅』に到着。駅から徒歩約3分、緑豊かな田園に囲まれ、整備された清潔な街並みが印象的です。そんな「関西の奥座敷」とも呼ばれる福井県のあわら(芦原)温泉にある『ホテル八木』は、20人以上の団体客を受け付けない旅館で、宴会場もカラオケもゲームコーナーもありません。

激美味ビュッフェに本格サウナ。名湯だけじゃすまない福井の絶品旅館_1
ホテル八木のエントランス

エントランスには人気絵本作家・荒井良二さんの巨大な絵画が飾られており、アート感あふれる館内はモダンな空気と和のテイストが絶妙に融合。ロビーからは朝・昼・晩で表情を変える、四季折々の日本庭園が臨め、照明・インテリア・一輪挿しにもさりげないこだわりが......。

激美味ビュッフェに本格サウナ。名湯だけじゃすまない福井の絶品旅館_2

創業120余年の大型老舗旅館を率いるのは、五代目として経営に取り組む二人の若き兄弟。大学卒業と同時に『ホテル八木』に就職した常務取締役の八木司さんは、当時の状況をこう回想します。

「最初はフロントで働き、3年目からは経理を担当しました。そのころの従業員で若い世代は2歳上の兄と私の二人だけで、あらゆる面での前時代的な環境には常に違和感を感じていました。でも、そうこうしているうちに、あわら温泉に大江戸温泉が進出してきて売上が大きく減少しまい、大きな方向転換を余儀なくされてしまったのです」