純文学の今後

鴻池 ところで松波さんは、純文学は今後、どうなっていくと思いますか? なくなると思いますか?

松波 なくならないと思いますね。やっぱり文芸誌は、自分が書くために読んでる人が多いんですよ。紙だけじゃなくて、Twitterもそうだし、文章の出力の場っていうのは昔よりも多いじゃないですか。たぶん、みんな書く楽しさに気づいているんだと思うんですよね。

鴻池 ですよね。実際、僕が最初に文芸誌を読んだのも、自分の作品を応募するためのリサーチとしてだったんですよ。小説を書くために読んでいた。文芸誌の読者っておそらく、この層がメインなんですよね。

松波 「自分も書きたい」と思って読む人がほとんどだと思いますね。

鴻池 だから「新潮新人賞」とか「文學界新人賞」とか、公募型新人賞っていう仕組みがないと、文芸誌は続かない。あれがたぶん、雑誌の骨格なんだと思う。

松波 そしてみんな小説を書き続けるんだけど、絶対売れないままじゃないですか。だから、出版社がどこまで付き合えるかっていう話ですよ。赤字っていうことだけじゃないです。

「大説」に対する「小説」って考え方で言うと、例えば作品の中に QR コードを入れてもいいし、映像を流していいし、イラスト出していいし、どんどんやっていいわけですよ。電子書籍などで、文字を動かしたり、踊らせたりしてもいい。