仕事のプロ意識がアダに!?

次は仕事で「普段から警戒はしていたのに、熱中症になってしまった」例です。

●43歳・女性・看護師
「総合病院に勤務。猛暑で熱中症患者が増えて、対応に追われていました。その日は夜勤明けで朝食を摂らず、コーヒーを1杯飲んだだけ。それで炎天下に徒歩で帰宅していたところ、急に視界がぼんやりして、大量の発汗と吐き気に襲われました。同僚に電話して車で来てもらい、自分が急患で病院に戻ることに…」

●42歳・男性・中学校教師
「糖尿病で薬を飲み始めて2年目です。糖尿病は熱中症になりやすいと注意されていましたが、授業が詰まっていると水分補給などしている余裕はありません。屋外イベントの帰宅途中に、熱っぽさと妙な発汗、激しいけん怠感を覚え、コロナかと思って救急外来に直行したところ、熱中症で入院となりました」

福田医師 プロ意識からか、仕事中に水分や塩分補給をしないという人は非常に多いようです。そして朝食抜き、コーヒーだけというのは、水分もミネラルも摂取できていない状態です。予防の観点からも朝食は必ず食べて、仕事中は計画的に水分と塩分を補給しましょう。

救急搬送された人の中には、熱中症から急性の腎不全を発症している人もいます。さらに、高血圧、糖尿病、心臓や血管に病気のある方、高齢者は熱中症になりやすく、また重症化しやすいことを知っておきましょう。

その理由として、高血圧や糖尿病では服用している薬による利尿作用、高齢者はのどの渇きを感じにくいことや、汗をかきにくくて体温が上がりやすいこと、また、体内のミネラルバランスが悪化しやすいことなどが挙げられます。

通勤時や外出時は、日傘、帽子、保冷剤、冷たいタオル、カロリーが低めのスポーツドリンク、麦茶、塩飴などを常備してください。ただし、糖尿病や肥満症の方は塩飴やスポーツドリンクは糖分も多く含まれるので注意し、麦茶、梅干し,塩昆布をつまむなどがいいでしょう。

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体験談から、「まさか自分が…」の裏には実は、酒の飲み過ぎ、エアコンなし、仕事や趣味に没頭、疲労、睡眠不足、水分・塩分不足、朝食抜き、根拠なき過信などの要因があったようだ。熱中症予防の参考にしたい。

構成・文 品川 緑 / ユンブル 写真/PIXTA