学校や教師の隠蔽体質は改善されているのか?

大きないじめ事案が報道されると、「学校はなぜいじめを認めたがらないのか」という話が持ち上がります。昔は、「いじめのある教室は生徒を管理できていないダメな教室」として、担任教師が自身の評価への影響を恐れ、いじめを報告しないこともありました。

事案ごとにさまざまな理由が考えられますが、個人的には、大きないじめ事案の場合、「当該行為をいじめではないもの(ケンカやじゃれ合い)として認識して放置していた」、または「当該行為をいじめと認識しながらも適切な対応を講じなかった」結果、大きないじめ事案に至った例が多いように考えています。

一方で、大きないじめ事案にまで発展していない段階でも、教師と保護者の関係がこじれて話し合いが難航しているパターンや教師の多忙化、いじめ調査に時間を要して報告が遅れているケースなどがあると考えられます。

特に教師の多忙化は、「いじめ」に並ぶ教育現場の課題となっています。

このことを考えると、いじめの対応については、専門の担当者を窓口に配置して、保護者や生徒への対応やいじめの調査を一任させたほうが解決が早いと考えます。

実際、岐阜市ではいじめ自殺をきっかけに市内の全公立小中学校に「いじめ対策監」を配置し、教諭などから選ばれたかれらが「いじめの予防」と「早期発見・対応」を専門的に担っています。

※「いじめ対策監」とは…2019年に岐阜市内で派生したいじめ自殺の反省を基に創設された制度。いじめ対策監は、市内の全公立小中学校に各校1名ずつの他、いじめの早期発見、早期対応、発生時の対応を専任で行うことになっています。いじめの対応の中心に「いじめ対策監」を置くことで、学級担任の負担も軽減される効果も期待されます

このような動きは、これからも各地で見られていくようになるでしょう。